中国の独占禁止法は、国際的に公認され、すでに成熟した各国の独占禁止法の基本原則と内容を参考につくられており、競争制限の禁止、競争システム維持などについての共通認識を共有している。同法では「独占行為」を定義するとともに、反独占委員会の主な責務を明確にし、以下の四つの主要制度から成り立っている。

独占協議の禁止

独占禁止法では、競争者間の競争制限協議(カルテル)を「横向協議」と称している。第13条が、主に競争関係にある経営者間で結ばれる以下の独占協議を禁止している。

  1. 商品価格を固定あるいは変動させること
  2. 商品の生産量あるいは販売量を制限すること
  3. 販売市場あるいは原材料市場を分割すること
  4. 新技術、新設備の購入あるいは新技術、新製品の開発を制限すること
  5. 連携して取引の妨害をすること
  6. 国務院反独占法執行機関が認定したその他の独占協議

市場支配地位濫用の禁止

第17条の規定で、市場支配地位濫用行為には主に以下の内容が含まれる。

  1. 不公平な高価で商品の販売を行ったり、不公平な定価で商品を購入したりすること
  2. 正当な理由なしにコストより安い価格で商品を販売すること
  3. 正当な理由なしに取引相手との取引を拒否すること
  4. 正当な理由なしに取引相手を限定したり、取引相手に指定された相手としか取引をさせなかったりすること
  5. 正当な理由なしに抱き合わせ販売や取引において他の不合理な条件をつけること
  6. 正当な理由なしに同一条件の取引相手に対し価格など取引条件において差別待遇を与えること
  7. 国務院反独占法執行機関が認定するその他の市場支配地位濫用行為

合併などによる「経営者の集中」概念を導入

第20条の規定は、「経営者の集中」の概念を導入し、ある企業の経営者が合併、株式あるいは資産の獲得、契約あるいはその他の形式で別の企業の経営者に対する支配権を取得する方式などへの規制を定めている。

第28条によれば、「経営者の集中」には、競争の排除や制限につながる要素があり、反独占法執行機関は、集中を禁止する決断をする必要がある。しかし、経営者が集中により「競争」状況に与えるプラスの影響のほうがマイナスの影響より明らかに大きいことを証明できる、あるいは社会の公共の利益につながると認められた場合は、これを禁止しない決定をすることがあり得るとしている。

行政権力の濫用による競争制限を排除

第8条が明確に規定しているが、行政機関や法律法規によって公共事務の管理権限を与えられている組織は、こうした権限を濫用して競争の排除、制限をしてはならない。

言うまでもなく、中国の独占禁止法の対象は、Microsoftのような多国籍企業に限られたものではない。この法律の主な対象は”独占状態の濫用行為”であって、行政権限の濫用もこれに含まれるのである。