青山学院とEMCジャパンは9日、産学協同でICT戦略を実施していくことを発表した。青山学院が2009年から運用を開始するICTネットワークシステムのインフラに「EMC Symmetrix DMX4」などのEMC製品を採用、また、同学院の青山キャンパス再開発に伴い、教育系と事務系のシステム統合をEMCジャパンが行う。青山学院はICT戦略による学校経営力の強化を前面に打ち出しており、マイクロソフト、NECなどとも産学協同の取り組みを開始しているが、EMCジャパンは同戦略の基盤となるインフラ部分へのソリューション提供を担当、2003年から続いている両者の連携をさらに強化していく。

青山学院は2009年で創立135周年を迎える。これに先立ち2006年11月、同学院の"あるべき姿、進むべき道"を明らかにする取り組みとして「青山学院アカデミック・グランドデザイン」を策定、その中の重要な柱のひとつとしてICT戦略が謳われている。教育/研究環境の高度化と充実を図るため、相模原キャンパスを含む学内すべてのIT環境にまたがるICTシステムを構築すべく、複数のITベンダと産学協同でプロジェクトに着手しているところだ。

EMCジャパンが同学院に提供するソリューションは以下の通り。

  • エンタープライズ向け大規模ストレージ「EMC Symmetirix DMX4」
  • ネットワークストレージシステム「EMC Celerrra NS80G」
  • 災害対策ソフトウェア「SRDF」
  • 非同期データレプリケーション対応ソフトウェア「EMC Celerra Replicator」
  • 統合ログ管理アプライアンス「RSA enVision」
  • ログ管理に関するポリシー/ルールを確立する「EMC ログ・マネジメント・デザインサービス」

両者の協業で目玉となるのは、国内では「非常にまれなケース」(EMCジャパン)とされている事務系と教育系システムの統合だ。学内のさまざまな場所に分散した複数のサーバを統合し情報の一元管理を図るもので、これにより大幅なTCO削減が見込まれるという。また、幼稚園から大学院までを擁する同学院としては、在校生だけでなく、校友や父母を含めた"青山学院ファミリー"に一貫して情報を提供していきたいというインセンティブがある。そのためにはデータ統合、情報資産の保護はもちろん、セキュアで可用性/拡張性に富んだインフラ構築が急務となる。

青山学院 常務理事 山口雅司氏は「青山学院の次世代ICTシステム構築において、最も重要なプロジェクトのひとつが、増大を続ける情報(データ)を格納するデータセンターの構築。そしてただ情報を格納するだけではなく、十分に活用するためには、一貫性のある、堅牢なネットワーク基盤が必要になる。そのパートナーとして、当学院と2003年から連携しており、十分な信頼関係が築かれているEMCジャパンを選んだ」と語る。また、EMCジャパン 代表取締役社長の諸星俊男氏は「EMCが提唱するILM(Information Lifecycle Management: 情報ライフサイクルマネジメント)と、青山学院の目的が合致した上で実現したパートナーシップ」としており、「ILMをベースとした"全体最適化"アプローチで先進的な情報インフラを構築、コスト/運用効率双方からの向上を目指す」という。

提携を発表する青山学院 常務理事 山口雅司氏(右)とEMCジャパン 代表取締役社長 諸星俊男氏

両者が構築予定のICTシステム概念図。青山キャンパスだけでなく相模原キャンパスも含めたシステム統合であり、教育機関としては国内最大規模の統合事例になる予定