東北大学サイバーサイエンスセンターは、11月14日、「SX-9導入披露&SENAC50周年記念式典」を、宮城県仙台市の同センターにおいて開催した。
これは、同センターの初代センター長である大泉充郎氏が、NECと共同で、東北大学における最初の電子計算機であるパラメトロン計算機「SENAC-1」を完成させてから50周年を迎えたこと、さらに、今年4月に、最新鋭のベクトル型スーパーコンピュータ「SX-9」を世界に先駆け設置し、運用を開始したことを記念して開いたもの。
今年3月に東北大学が導入したSX-9は、HPC(高性能計算)分野でのベンチマークテストであるHPCチャレンジにおいて、評価28項目のなかで、シングル環境と多重負荷時のメモリ性能(STREAM)で8項目、プロセス間の転送性能(Bandwidth)で5項目、シングル環境および多重負荷時の行列積の演算性能(DGEMM)で2項目、FFTの演算性能の2項目、シングル環境と多重負荷時のメモリのランダムアクセスの性能(Rand om Access)で2項目の合計19項目で、世界最高速を達成したという。記念式典にあわせて、参加者を対象に、同スーパーコンピュータも特別に公開された。
東北大学サイバーサイエンスセンター・小林広明センター長 |
午後1時から開かれた記念式典では、冒頭、東北大学サイバーサイエンスセンターの小林広明センター長が式辞を述べ、「SENAC-1は、NECがNEAC-1102として出荷した第1号のコンピュータであり、NECのコンピュータ開発の原点とも位置づけられるもの。諸外国に後れをとっていた我が国のコンピュータの設計、開発を、東北大学とNECとの共同作業によって取り戻した。また、これを通じて、数多くの研究者、技術者を育成し、学界、産業界に多大な貢献をもたらした」としたほか、「東北大学サイバーサイエンスセンターは、全国共同利用施設として、研究室レベルをはるかに超える、最高、最新鋭の計算機システムを設置してきた。また、研究者たちにとって、使い勝手がいいシステムの構築、ほかでは実行できない大規模、長時間ジョブ実行環境の整備、専門的立場からの利用者プログラムの高速化支援などの努力も行ってきた。今後も先端情報基盤の提供という役割を担い、我が国の計算機科学、計算科学の発展に貢献したい」と語った。
東北大学総長の井上明久氏 |
また、東北大学総長の井上明久氏は、「当学がいち早くスーパーコンピュータの開発、導入に関わったことは、電子計算機産業の育成に多大なる貢献をしたと自負している。また、スパコンを活用したコンピュータシミュレーションが可能となったことで、理論と実験に加え、現代科学計算の手法を用いることができ、技術の発展に寄与することができた。全国共同利用施設としては、全国で2番目だが、広域利用、タイムシェアリングという観点では、先導的役割を果たしてきたといえよう。多くの成果を送り出す基盤となっている。SX-9は、科学技術の高度化に取り組む学術研究者のさらなる計算要求に答えるべく導入した。科学技術の飛躍的発展、国際競争力の発展にも寄与することを期待している」と挨拶した。