楽天は6日、同社グループ外のECサイトでも、楽天IDを使って商品の決済ができるサービス「楽天あんしん支払いサービス」の提供を開始したと発表した。同サービスを導入すれば、楽天の顧客を自社サイトに呼び込める利点があるほか、「ユーザーにとっても、個人情報を新たに登録することなく、流出リスクを低くすることができる」(楽天)としている。

6日提供が始まった決済代行サービス「楽天あんしん支払サービス」紹介ページ画面

同サービスは、「楽天市場」などへの出店ができない、あるいはしたくないなどという企業向けに決済機能を提供するサービス。

具体的には、導入サイトに楽天のロゴが入った「お支払い」ボタンを設置。同ボタンをクリックすれば、約4,200万あるという楽天IDを利用した決済が可能となる。このことにより、楽天会員の自社サイトへの誘導が可能になるほか、自社での個人情報の管理が不要になるため、サービスや商品の拡充など「本来のEC業務に集中することができる」(楽天)。

導入サイトに設置された「お支払い」ボタンをクリックすれば、楽天IDを利用して決済が可能となる

また、楽天では、同社から送る顧客へのメールマガジン上で、「楽天あんしん支払いサービス」を導入したECサイトの宣伝・告知を行うなど、「楽天の優良顧客を送客するなどのサービスも提供する」(同社)としている。

さらに、あんしん支払いサービスを導入したサイトで商品やサービスを購入すれば、購入額の1%を「楽天スーパーポイント」として付与。貯まったポイントで、楽天グループのサイトや、あんしん支払いサービス導入サイトで商品やサービスを購入することも可能になる。

「導入サイトのマーケティングに大きく貢献できる」と話した楽天常務執行役員の和田圭氏

6日開かれた同サービスの記者発表会では、楽天常務執行役員の和田圭氏が同サービスを提供する利点について説明。「楽天の顧客は、実際にネットで商品を購入したことがありクレジットカードを持っている、一人当たりの購入回数が多い、などの特徴を持った優良顧客が多い。決済サービスを提供する企業は他にもあるが、決済そのものというより、むしろマーケティングの側面でメリットがあるのではないか」と述べた。

和田氏によると、すでにUSENが提供する音楽ダウンロードサイト「OnGen」など4社が導入しているという。

利用料金は、決済金額に応じた従量課金制で、初期費用は2008年中に申し込んだサイトは無料になる。現在は、物品の配送を伴わないデジタルコンテンツのサイトを募集しており、2009年3月以降に、物品の配送が必要なECサイトも同サービスを利用できるようになる予定。