米Ciscoは9月19日(現地時間)、インスタント・メッセージング(IM)製品の米Jabberの買収を発表した。金額等の詳細は明らかにされていない。Jabberはオープン仕様のプロトコルをベースにした企業向けIMサーバやクライアントを開発しており、Ciscoは今回の買収でこれら資産をWebExやCisco Unified Communicationsなどの同社製品に組み入れるのが狙い。

Jabberは米コロラド州デンバーを拠点にする未公開企業。AOLやYahoo!、Microsoftなどの他のIM製品とは異なり、XMPP(eXtensible Messaging and Presence Protocol)と呼ばれるオープン化されたXMLベースのIMプロトコルを製品に採用している。XMPPは以前まで非営利組織のJabber Software Foundationの下で開発が進められていたが、現在ではその名称をXMPP Standards Foundationへと変更し、その活動を続けている。XMPPはGoogle TalkなどのIMサービスで採用されていることでも知られる。

Jabberの主力製品は企業やキャリア向けのIMサーバである「Jabber XCP」、サーバ機能を包含したアプライアンスの「JabberNow」、そしてPCから携帯までを幅広くカバーした「Jabber Client」の3つだ。またJabberの特性として、XMPPベースのJabber IMだけでなく、AOLやYahoo!、MSNまで、商用のIMサービスを含む幅広いIMインフラを1つに統合できる点が挙げられる。例えばJabber Clientを導入したユーザーは、1つのIMクライアント・アプリケーションだけで複数のIMサービス接続状況を一覧でき、そのプレゼンス機能やチャット機能を利用可能になる。また企業システムにおいてもMicrosoft Office Communications Server、IBM Sametimeなど、プラットフォームを横断したシステム構築が可能だ。

買収後のJabberはCiscoのCollaboration Software Group(CSG)へと組み込まれることになるが、現在の本社であるデンバーに拠点を構えたまま製品開発を継続していく。買収完了は2008年後半を見込んでいる。