調査結果を発表するアクセンチュア 経営コンサルティング本部 財務・経営管理 グループ統括 エクゼクティブ・パートナー 野村直秀氏 |
アクセンチュアは、2007年から2008年にかけて「多極化世界における財務・経理組織の役割変化」と題する調査をグローバルで行い、その調査結果を公表した。
この調査は、世界30カ国、20の業界において、10億USドル以上の収益を報告する企業の財務担当上級役員350人以上にオンラインにて行われた。また、日本においては、グローバルの調査を補完する目的で、8社の財務担当役員に対し、書面と個別ヒアリングによる調査を行った。
そして、この調査により、以下の点が明らかになったという。
・グローバリゼーションが財務・経理機能に大きな影響を与えている
・財務・経理のパフォーマンスは、全体的にまだ不十分
・財務・経理とビジネス全体との足並みの乱れが発展の妨げとなっている
・ベンチマークの採用は進んでいない
・価値中心の文化が不可欠ですが、社内への浸透に苦慮している
・人材の問題が財務・経理に共通の課題
・優れた業績管理を実行している企業はごくわずか
・全社リスク管理手法に変革が求められている
・優れた財務・経理組織は巧みに課題に対処している
グローバルと日本の比較では、グローバルでは、主に人材に関する事項(安価な労働力確保、高スキルの取得、アウトソーシング等)が大きく影響を受けると認識しているが、日本では、資金調達機会の拡大や組織の一体性を維持するためのリーダーシップの必要性が影響を受けると認識しているという。また、日本では税務や法規制への対応や、業務の標準化に強い関心が見られるという。
人材確保に関しては、グローバルではいかに高スキルで最適な人材を確保・配置できるかという点に課題認識があるが、日本では、日本人を中心とした内部要因での手当てを好む傾向が強いため、自社要員としての人材確保に課題を抱えている傾向がみられるという。
そして、日本企業の今後の方向性として、全社経営戦略と一貫性を持つ財務・経理戦略を定義し、総合的な財務・経理部門の構築が課題となり、再構築は以下の手順で実施することが望ましいとしている。
1.現状の客観把握(ベンチマーキングの利用)
2.総合的な整理検討(組織構造、機能、人材、システムをトータルで検討)
3.組織構造、機能、人材、システムに対する総合的な変革推進