Webサイトの審査・認定を行うための第三者機関「インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI、アイロイ)」は17日、東京都港区で記者会見を開き、今後の事業概要について説明した。小中高の年齢階層別に"有害ではない"サイトを認定。今秋までに審査基準を策定し、2009年度から認定申請の受付を開始することを明らかにした。

Webサイトの審査・認定を行う第三者機関には、「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)」があるが、審査・認定の対象は携帯電話のサイトに特化している。I-ROIは携帯電話のサイトだけでなく、インターネットサイト全般を審査・認定の対象にする予定で、より広い範囲での審査が行われる予定だ。

インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI)の運用イメージ

I-ROI代表理事で東京工科大学前学長の相磯秀夫氏は、記者会見でサイト認定の目的や審査方法について説明。「推奨マークを付与することで、フィルタリングや家庭におけるサイト利用の判断材料にしてほしい。審査方法については、各サイトが基準を基に自己評価(セルフレイティング)を行った上でI-ROIにサイト認定を申請。申請があったサイトについてはI-ROIで審査し、基準をクリアすれば推奨マークを付与するという方法を考えている」と述べた。

審査基準については、社団法人のデジタルメディア協会(AMD)が4年前から策定・検討してきた「コンテンツアドバイスマーク」の審査基準を応用。今秋までの策定を目指すとしている。

記者会見を行ったI-ROI代表理事の相磯秀夫氏

審査においては、年齢階層別、評価項目別にコンテンツの質を評価する「レイティング(格付け)」の仕組みを採用。年齢は、「12歳未満(小学生)」「12歳以上(中学生)」「15歳以上(高校生)」の3階層別、評価項目は、「ヌード等」「暴力・残酷」「差別表現」など11の項目別に評価する。各年齢階層で評価が「安心して推奨できる」の基準に達したサイトは「12歳未満推奨」などとしたマークをサイトに貼ることができる。

相磯氏は、審査の対象となるWebサイトの種類について、「当面は映像、電子書籍、ゲームなどの『表現型コンテンツ』の審査を行う。態勢が整ってくれば、掲示板やSNSなどユーザーが書き込みをできる『参加型コンテンツ』に対象を広げていきたい」と話した。

さらに、「審査・認定の申請受付は2009年度から開始するが、基準をどうやって活用していくかがポイントとなる」とした上で、「やってみないと分からない部分もあるので、ユーザーから問題提起してもらための『ユーザーホットライン』を設ける」と述べ、ユーザーからの意見還元による運用改善を図っていくことを明らかにした。

記者会見の後は、I-ROI設立を記念したシンポジウムが開かれ、I-ROI理事となった慶應義塾大学常任理事の村井純氏や、ヤフー法務部マネージャーの吉田奨氏らが記念講演やパネルディスカッションを行った。