このところ、中国の大手ソフトウェア企業が、製品志向からサービス志向へシフトする動きがみられる。本レポートでは、その実態と背景を明らかにしたい。

用友、顧客志向型経営実践へ組織再編

上海証券取引所に上場する用友軟件股※(UFIDA Software、以下「用友」)は今年1月中旬、経営戦略発表会を開いた。同社は、マネジメントソフト、ERP、財務会計ソフト、グループマネジメントソフト、SMBマネジメントソフト、オンラインサービスなど、豊富な製品ラインを持つ。中国を含むアジア太平洋地域において60万社以上のユーザーを抱える大手企業で、中国のソフトウェア業界を代表する存在である。

※は人べんに「分」

同社の最新の財務報告書によると、2007年度の売上高は13億5,600万元(約203億円)に達し、前年度より22%増加した。一方、純収益でも前年比110%と、相変わらずの高い成長性をみせている。

同社董事長(会長)兼総裁の王文京氏がこのほど明らかにした新戦略の要点は、ビジネスモデルを変革し、「顧客志向型経営(客戸経営)」を実施していくことだ。

王氏は顧客志向型経営を実施することについて、以下のように発言している。

「顧客志向型経営を実施することは、用友にとってビジネスモデルの変革とイノベーションを意味する。その中でも最も重要なのは、異なる発展段階にあるユーザー、異なる産業分野に位置するユーザーに対し、それぞれに適合したサービスや製品を提供していくことにある。顧客志向型経営により、用友のポジションニングも、これまでの生産志向型企業(産品経営型公司)から変化することができる。すなわち、マネジメントソフト・プロバイダーから、各種のアプリケーションサービス・プロバイダーへと変わることができるのである」。

目下用友は、顧客志向型経営の実施に向け、経営組織の再編や、SaaSなどの重要サービスのリリースに向けた準備を進めている。