MODEは昨年に続き、11月18日の土木の日を記念して、「土木DXセミナー 2025 持続可能なインフラ整備に向けた土木DXの展望」を東京都・銀座で開催した。

建設業界は、人口減少による人手不足時代の到来や、2024年4月から始まった時間外労働の上限規制などによる構造的課題に直面しており、従来の働き方や現場運営では立ち行かなくなっている。そのため、AIやIoTを活用した土木DXが注目されており、施工管理の高度化や安全性の強化、労務負担の軽減といった具体的な成果を生み出しつつある。

そういった中、本セミナーでは、国土交通省 大臣官房 技術調査課/参事官(イノベーション)グループ課長補佐 西上康平氏が、「国土交通省におけるインフラDX・AIエコシステム実現に向けた取り組み」と題して講演を行ったほか、東日本旅客鉄道(JR東日本)や九州旅客鉄道(JR九州)、ネクスコ東日本エンジニアリングの先進的なDXの取り組みが紹介された。

セミナーの最後には、MODE 事業開発シニアマネージャー 道間健太郎氏が、「現場をつなぐデータ統合ソリューション-BizStackが拓く建設・インフラDX-」と題して、多くの建設・土木企業に導入されている同社の「BizStack」を活用したDXを紹介した。本稿ではこの道間氏の講演の様子をお届けする。

  • MODE 事業開発シニアマネージャー 道間健太郎氏

    MODE 事業開発シニアマネージャー 道間健太郎氏

AIとロボットで協調していく世界がすぐそばに来ている

MODEが提供するBizStackは次世代のデータ統合ソリューションで、センサーや各種デバイスの現場データを収集してクラウドに統合し、生成AIを活用して直感的に現場を最適化・可視化する仕組みだ。チャット形式のインターフェースで、生成AIを使い蓄積したデータを可視化する「BizStack Assistant」も提供されている。

  • 複数企業の入力データをBizStackで統合し、現場向けにチャットアプリやインカム、管理者向けにレポート、ダッシュボード、デジタルツインとして出力する

    BizStackの概要

道間氏は、「MODEの強みは、建設業のみではなく、物流やビル管理など多業種で導入していただいていることにより、さまざまな業界が行っている先進的な取り組みを知見として持っていることです。それらを活かし、業界特化型SaaSとは異なる立ち位置で改革を推進しています。MODEのコンセプトは、AIやロボットなどの技術ドリブンによって、皆さんの仕事で不足しているところを置き代えていくことにあります」と、自社の特徴を説明した。

そして同氏は、AIやロボットの進化を象徴するニュースとして、Google DeepMindが6月に発表した、VLA(Vision-Language-Action、視覚言語アクション)モデル「Gemini Robotics」をロボットで実行できる「Gemini Robotics On-Device」を取り上げ、動画を交えながら紹介した。

「生成AIを組み込んだロボットは、カメラから取り込んだ映像から学び、自ら考えたうえで、やるべき作業を実行します。今までの機械学習とは違い、プロンプトベースで簡単にこのようなものが実装できるのを見ると、AIとロボットが協調していく世界がすぐそばに来ていると感じます。そして、この技術をBizStackにも組み込んでいければと思っています」(道間氏)

一方で同氏は、国内の生成AIの活用が遅れている実態も指摘した。

「日本は生成AIの利用が遅れているという実態があります。総務省の調査結果では、日本企業での生成AI利用率は55%ですが、利用率が90%以上の国もあります。人材教育の部分でも何か貢献できないかという考えも、MODEとして持っています」(道間氏)

現場DXの新しい3大問題をどう解決していくのか

道間氏は講演の中で、現場DXの新しい3大問題をどう解決していくかについて触れた。同氏によると、システム乱立(システムのサイロ化)、現場でプラットフォームが使われない、AIを使えていないという3つが、現場DXの新しい3大問題だという。それに対して、これらの課題を解決している3つの取り組みが示された。

1つ目は、カメラの情報を生成AIに取り込み、その日にダンプカーが何台現場に来ているのかをトレーサビリティとしてBizStackに貯めていくソリューションだ。これはBizStackに新たに搭載された車両検知機能を使ったもので、建設現場や物流拠点などの車輌入場口に設置されたカメラ映像をAIが分析し、車両の進入・退出と車種を自動判定。AIがエージェントとして現場を常時監視し、必要な情報をリアルタイムで通知・記録する。

  • BizStackではトレンドを集計し、その結果をチャットアプリやインカムに定期・即時通知することも可能となっている

    トレンド集計し、その結果をインカムに通知することも可能

2つ目は、KDDIスマートドローンとの業務提携により展開されるソリューションだ。これはBizStackと連携することで、ドローンで撮影された画像・映像データを自動的にエリアや日時ごとに整理・格納する仕組みを実現するものである。

ドローンが建設現場を定期的に自動巡回し、設備状況、施工状況や土量、資機材の状態などを空撮し、そのデータをAIが分析。普段と異なる状況や現象があれば、TeamsやSlackなどのチャットツールを通じて対応方法を案内する。自然言語でやりとりすることで、トレーニング不要で活用できる点が強みだという。年内にはデータ呼び出し機能と、リアルタイム映像の確認機能のβ版をリリースする予定だ。

  • KDDIスマートドローンとBizStackが連携することで、ドローンで撮影された画像・映像データを自動的にエリアや日時ごとに整理・格納する仕組みを実現

    KDDIスマートドローンとBizStackが連携

「このソリューションはドローンが飛んだ経路の情報を所持しているので、特定の区間を通っている動画だけを抽出するよう指示を出すと、その動画だけをピックアップしてくれます。これにより、必要な動画を探す手間を省くことが可能です」(道間氏)

3つ目はBizStack Assistantを活用したものだ。最近は生成AIを就業規則の検索に利用する企業が増えているが、MODEでは、AIエージェント同士が会話する世界を提供しようとしている。具体的には、社内ルールに沿ってその業務を行うにはどうすればよいかをBizStack Assistantに投げかけると、本社のAIエージェントと現場のAIエージェント同士が会話し回答を返してくれるというもので、現在開発中だという。

  • BizStack Assistantを活用し、AIエージェント同士が会話する世界の提供を目指している

    AIエージェント同士が会話をして回答する

JR東日本や鉄建建設との取り組み

道間氏は最後に、JR東日本や鉄建建設でのBizStackの活用事例を紹介した。

JR東日本では、終電から始発までの時間で作業員や重機械による作業を行う。その際には線路閉鎖や列車見張りを行い、誰が(何が)、どこで、何をしているかを常に把握する必要がある。これまでは目視による確認を行ってきたが、目視による確認では注意力の限界が存在する。そこでMODEとともに、準天頂衛星対応GPSトラッカーを使用し、工事関係者や重機械の位置をリアルタイムに把握できるようにした。これにより、線路閉鎖された区域に人や重機が入っているのか否かを、即座に確認できるようになった。

一方の鉄建建設との取り組みでは、高速道路の工事で規制帯を張るときの事務作業を簡略化するために、位置情報やカメラを使って、報告業務を簡略化する施策を行っている。

具体的には、車線規制時に設置される保安設備にGPSデバイスを設置し、交通規制範囲の位置情報をリアルタイムで可視化。また、規制帯付近に設置したカメラの映像をAIに取り込み、対話型AIとチャットアプリ経由で映像を確認することも可能になっている。これにより、現場管理者の負担が軽減されたほか、迅速な意思決定にもつながっているそうだ。

  • 鉄建建設では、BizStackを活用したことで作業時間の削減と正確性の向上を実現した

    鉄建建設のBizStack活用事例

同氏は、これらの実績を踏まえ、「建設工事からインフラの保守まで、伴走しながら取り組んでいることがMODEのアピールポイント」だと述べ、講演を締めくくった。

  • 土木DXセミナー会場の様子

    イベントは多くの業界関係者の注目を集めた

関連リンク

BizStack
MODE,inc

[PR]提供:MODE