ユニバーサルサーチ - ユーザにもっとリッチなサーチ結果を

Mayer氏が現在、注力している分野が「ユニバーサルサーチ(universal search)」だ。昨年5月、同氏がGoogleを代表してユニバーサルサーチへの取り組みを表明したが、これはサーチ結果としてWebだけでなく、写真、動画、ニュース、書籍なども同時に表示するものである。つまり、ユーザに「よりリッチなサーチエクスペリエンス」(Mayer氏)を提供するためのサービスで、さまざまなタイプのソースを横断することで、最も適切な情報を、情報のタイプにかかわりなく提供できることを目的とする。

Mayer氏が「私の好きなサーチ例」として紹介したのが"how to tie a bowtie(ボウタイの結び方)"をクエリとした場合のユニバーサルサーチだ。入力すると、下図のように画像や動画なども含めた状態で結果が返される。

ボウタイの結び方は、テキストよりもイラストや動画のほうがたしかにわかりやすい

ユニバーサルサーチは、正式な取り組みを表明してからまだ1年強ということもあって、Mayer氏は「課題が多く残っているサービス」だと言う。とくに難しいのが「動画の扱い」だそうだ。今後は「動画や音声をスクリプト化したデータに対してサーチをかけたり、音声入力も可能にしていきたい」と意欲を見せる一方で、「サービスを提供する国や地域の文化的背景を十分考慮しなければならない。たとえば、来日して驚いたのは電車の中で携帯電話で話している人が少なく、とても静かなこと。日本のようなところでは音声入力は向かないかもしれない」とユニバーサルサーチの普及には十分な検討が必要であることも認めている。

GOOG-411

Mayer氏はGoogleのモバイルへの取り組みとして、米国で実施されている「GOOG-411」について紹介した。これは、電話(携帯でも固定電話でも可)から1-800-GOOG-411にかけると、自動音声による検索サービスを受けられるものだ。もちろん無料で提供されており、米国内のどこからでも利用できる。たとえばレストランの場所と名前で検索し、検索結果を得たらそのまま店に電話をつなぐことも可能だ。このサービスは現在のところ米国だけで展開されており、好評を博しているそうだが、他国での展開にあたっては、音声認識のテクノロジをどうするかなどの課題が多く、まだ未定だという。

グローバライゼーションとローカライゼーション

冒頭で触れたように、Googleは日本版トップページを変更した。「日本市場に適した形に変更した」とMayer氏は語るが、同様の取り組みは韓国や中国でも行っているという。今後はそれぞれのお国柄にあわせたGoogleトップページが、あちこちで見られるようになるかもしれない。

もうひとつ、グローバルユーザの拡がりに伴って、Googleがさらに力を入れて取り組んでいる分野が「自動翻訳機能」だ。それも単なる自動翻訳ではなく、「ユーザが求める情報を、ソースが何語であっても、ユーザの母語で提供する」(Mayer氏)、これがGoogleのミッションである。「たとえば、アラビア語でクエリを入力し、サーチ結果として英語で書かれたWebページがヒットしたら、英語で提供するのではなく、アラビア語で提供できるようにしたい」と同氏は言うが、相当に難易度が高いチャレンジだと言える。「ロシア語でNYの情報が欲しいとき、ロシア語で書かれたサイトだけではなく、あらゆる言語で書かれたNYの情報がヒットし、それをロシア語でサーチ結果を返せるようにする。そうなればユーザの利便性は格段にアップする」とMayer氏は意気込みを語る。

最適なコンテンツを、すべてのユーザに - Mayer氏は最後をこう結んだ。