IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、オープンソフトウェア・センターの活動状況を報告した。

同センターは、オープンソースソフトウェア(OSS)の活用および普及の中核となって、「基盤整備」「情報集約と発信」「普及促進」の3つを柱とした活動を展開する目的で、2006年1月に設立された。そして現在は、「情報の収集と発信」「ツール類の提供」「人材育成」「適合性評価」の事業を行っている。

「情報の収集と発信」では、IPAXやIPAフォーラムなどの展示会やセミナー、OSS活用に関する調査、出版活動のほか、オープンソース情報データベース「OSS iPedia」でOSSの活用事例、技術情報、オープンソースに関する基本的な知識を提供している。

「ツール類の提供」では、日本語フォント「IPAフォント」をすでに提供しているほか、6月からはインターネットを介した実証的な評価環境「OSSオープン・ラボ」を一般に公開する予定だ。

また、同センターでは2005年度から自治体等へのOSS導入実証事業を行っている。これは、導入コストの削減、特定ベンダーへの依存性排除、地元の産業を活かした情報処理などを目的としている。

初年度の2005年度は、栃木県二宮町において300台のPCにLinuxを導入するなど、デスクトップ環境へのOSS導入、続く2006年度は認証ID管理などバックヤードの部分、そして2007年度は住民票システムなど基幹業務へのOSS適用と、順次適用範囲を拡大してきた。

オープンソフトウェア・センター長の田代秀一氏

オープンソフトウェア・センター長の田代秀一氏はこれらの実証実験の中で、アプリケーション間でのデータの互換性問題や調達側のスキル不足という問題点が見つかったという。そして、これに対し同センターでは、人材育成のための研修手法や教材の作成、OSSを利用する上での手順書やガイドラインを作成するなどの対策を行ってきた。

そして、これらを踏まえ今年度からスタートした第二期中期計画では、システム連携等の相互運用性確保に必要不可欠なソフトウェア基盤の整備、情報システムの中立公平な仕様記述に不可欠な技術参照モデルの策定、人材育成等を重点的に取り組む。

具体的には、政府・地方公共団体等の職員及び地方・中小ITサービス事業者等を対象とした、オープンソフトウェアに係るモデルカリキュラム等の作成・普及、ライセンス条項、特許問題等の法的課題の解決に向けた取り組み、オープンソフトウェアに関する性能評価、活用事例等の提供などを行っていく予定だ。