富士通は、2007年度連結決算を発表した。売上高は前年同期比4.5%増の5兆3,308億円、営業利益は同12.6%増の2,049億円、経常利益は同10.5%増の1,628億円、当期純利益はLSI事業再編にともなう特別損失などの影響で同53%減の481億円で、増収、営業増益となった。

金融分野向けのSIビジネス、アウトソーシングなどサービス事業が伸長するとともに、パソコン/携帯電話が増収となるなど、売上高はすべてのセグメントで前年実績を上回り、営業利益は年初計画の1,900億円を超えている。同社の小倉正道副社長(CFO)は「米国の景気の先行きに不透明感があるが、企業のIT投資には底堅いものがあり、全体としては堅調だった」と述べている。  

富士通の小倉正道 副社長

セグメント別にみると、「テクノロジーソリューション」では、売上高が同3.6%増の3兆2,722億円で、営業利益は同5.5%増の1,801億円だった。そのうち、ハードウェア系のシステムプラットフォームは売上高が同1.3%増の7,128億円となった。

国内はNTTグループなどの投資一巡と投資内容の変化が影響、携帯電話基地局が伸び悩み、5.3%の減収となったが、海外では米Sun Microsystemsとの統合ブランド製品「SPARC Enterpris e」の販売が開始され、UNIXサーバを中心に売り上げを伸ばしたほか、北米では光伝送システムも伸長、17.7%の増収となった。サーバ関連の増収効果やコストダウン効果、費用効率化により全体では大幅な増益となり、営業利益は前年比322億円増え、397億円となっている。

「テクノロジーソリューション」のうち、サービス分野は、売上高が同4.3%増の2兆5,593億円だ。国内は金融、ヘルスケア分野などを中心とした領域向けのSIビジネスや、アウトソーシングサービスなどが伸長、2.6%の増収となった。

海外は、ドイツや北欧地域を中心に買収による事業規模拡大で増収となったほか、既存ビジネスも欧州を中心に堅調に推移し、7.5%の増収だった。営業利益は1,404億円で前年比156億円の減益となった。

国内はITインフラ構築の標準化・自動化の推進やコンサルティング強化のための先行投資の負担が増加したが、増収効果や費用効率化などにより増益となった。海外は欧州市場を中心に増収効果はあった一方、英国での一部のプロジェクトで不採算損失の引き当てを慎重に行った影響や、買収による事業規模拡大に伴うのれんの償却負担増などにより減益となった。

ユビキタスプロダクトソリューションでは売上高は同6.3%増の1兆1,889億円で、国内はパソコンが堅調に推移するとともに、携帯電話も伸長し、7.2%の増収となった。海外はパソコンが北米、アジア地域を中心に伸びたほか、ノートパソコン向けHDDが販売台数では過去最高となるなどの状況であり、4.8%の増収だった。

パソコンの増収効果、部品コストダウンの推進、費用効率化などにより、営業利益は前年比109億円増の525億円だ。HDDは「上期に価格下落のあおりを受け苦しく」(小倉副社長)全体としては赤字だった。しかし「下期には価格が安定してきて」(同)いるとともに、垂直磁気記録方式の新製品などに競争力があり、2008年度は黒字化を見込んでいる。

デバイスソリューションは、売上高が同4.5%増の7,967億円だ。特に国内は14.1%の増収となっている。基盤ロジック製品は伸び悩んだものの、90nmテクノロジーの先端ロジック製品が三重工場第1棟の増産効果で増収となったことなどが要因だ。

海外は販売体制見直しなどにより、同社の海外販社経由のフラッシュメモリの取扱高が減少したことが影響、9.9%の減収となった。営業利益はほぼ前年並みの182億円だった。

LSI事業では、先端ロジック製品の増収効果があった反面、65nmテクノロジーに対応した三重工場第2棟の稼動に伴う減価償却費の増加影響や、基盤ロジック製品の所要回復遅れがあったほか、電子部品などは年末にかけて、急速な円高が進行したことや、価格競争激化、先行投資負担増などが響き、減益となった。