新社長に就任する碓井稔氏

セイコーエプソンは30日の夕方、緊急記者会見を開き、新代表取締役社長に碓井稔(うすいみのる)氏の就任が内定したと発表した。現社長である花岡清二氏は代表取締役会長となる。また、現会長の草間三郎氏は取締役を退任し、相談役に就任する。6月25日に開催を予定している定時株主総会、取締役会、監査役会において正式に決定する予定という。

新社長に就任する碓井氏は、同社のインクジェットプリンタに使用されているマイクロピエゾヘッド技術の産みの親。昭和30年4月生まれの53歳で、セイコーエプソンの本社がある長野県諏訪市に隣接する塩尻市の出身。昭和54年11月に信州精器(現セイコーエプソン)に入社した。

現社長(新会長)である花岡清二氏

会見には碓井氏と花岡氏の2人が登場した。同社は業績回復と再成長を図るため、2006年度から2008年度までの3年間に及ぶ中期経営計画「創造と挑戦1000」を進めてきた。花岡氏はこの計画を車の両輪にたとえて「うまくは動かなかった」としたものの、「一定の方向付けはできた」と語った。今後はこれをもとに中長期的な構想をまとめ、新体制のもとで実現すべきと判断し、社長職を碓井氏にバトンタッチすることを決意したという。

続いて碓井氏は今後について「これまではコンシューマ分野に偏り過ぎた。今後は産業分野にも注力していく」との方針を述べた。そのほか会見中、記者から座右の銘について問われたところ、「極めて、極める。つまりは"究極"ということです」という、開発者らしいこたえが返ってきた。また、社長就任ともなれば家族はさぞや喜んだだろうと思ったが、「奥さんからは"やりたければ、やったら"と言われました」という、やや寂しい反応だったとか。