携帯電話事業者のSK Telecom(以下、SKT)が、オンラインショッピングモール「11番街」を27日から正式オープンすると発表した。

買うだけでない、次世代ショッピングモール

11番街は、ショッピングサイトに企業や個人などの店主が、入店料を支払って商品を販売する形態のショッピングモールだ。韓国ではこれを「オープンマーケット」と呼ぶ。

SKTでは11番街を「次世代ショッピングモール」と自負する。それだけに、単に商品を購入するだけの既存のショッピングモールとは異なる点が多い。

11番街のトップページ。オープン前の現在は、Webサイト全体の概要を説明するような内容となっている

まず主要ターゲットは20~30代。そのためコミュニケーション機能が強化されている。SNSを利用したショッピング情報の共有や、仲間と1つのショッピング画面を共有しチャットしながらショッピングできる「Chapping」機能など、情報共有と交流を楽しめるようになっている。

また、「有無線統合」を掲げる同社では、PCなどの固定回線でも、携帯電話などの無線でも11番街を利用できるようにする予定だ。3月中オープン予定の「モバイル 11st」では、SMSを通じた商品検索はもちろん、注文から決済まで、一通りの操作が可能なようにしている。またモバイルのみのクーポンで買い物ができるようにもする。

さらにショッピングモールとして大事なのが品揃えだが、11番街では差し当たり200万個を取り揃えているという。SKTのグループ会社であるSK Communicationsが運営する「NATE Mall」といったショッピングサービスとももちろん連動し、ラインアップを充実させる。

一方、売り手にも配慮したサービスが行われる。衣料卸売りが集中する、ソウルの東大門にあるビルに「Seller Zone」を設け、ここで販売者に向けた教育のほか、写真撮影スタジオおよび装置を無料で提供するのだ。これに加え商品管理をしやすくする目的で、商品統合管理ソリューションも無料提供。販売者の管理体制を高めることで、ショッピングモール全体の質をも底上げしたい考えだ。

拡大する市場に参入

SKTは11番街で「2008年末までに、オープンマーケット市場で取引額6,000億ウォン(約683億4,800万円/1ウォン=約0.1139円)を上げ、市場占有率を3位に、2009年には取引額1兆ウォン(約1,139億1,400万円)を目標としている」と述べる。さらに「韓国内でのサービスが安定したら海外へ」と、オープン前から既に海外市場進出への意思も見せるなど意気込んでいる。

SKTがこのようなショッピングモールをオープンするのは、第一にこの分野に対する期待度が高いためといえる。

SKTによると、オンラインショッピングモール市場の取引規模は、2007年末時点で約16兆5,000億ウォン(約1兆8,795億9,240万円)に達し、2012年には35億ウォン(約3兆9,870億1,400万円)まで拡大するという。これがオープンマーケット市場の場合、現在の8兆ウォン(約9,113億1,700万円)から年平均21%ずつ成長を見せ、2012年には20兆ウォン(約2兆2,782億9,300万円)に達する見込みだ。これはオンラインショッピングモール市場の60%を占める数値だという。

今回のサービスのため同社では、以前から着々と準備を進め、力やノウハウを蓄えてきた。書籍店の「Morning 365」、化粧品店の「Cherrya.com」、衣料品店の「Neotam」というオンラインショッピングモールを次々買収した2007年は、とくにSKTのオンラインショッピング進出へ対する意気込みが感じられた1年だった。

これら傘下に収めたショッピングモール以外にも、さまざまな関連会社とサービスを持つSKTだけに、これらをフルに活かした多彩なサービスが想定される。韓国オンラインショッピング界には「Gmarket」「Auction」など強敵も多く競争も熾烈だが、強大な資本力を持つSKTが今年、どれほど頭角を現せるのか注目できる。