シャープとソニーは26日、大型液晶パネルならびにモジュールの生産および販売を行う合弁会社の設立に向け、両社の意向を確認する「意向確認覚書」を交わしたことを発表した。また、それに併せて都内で記者会見を開き、両社が立ち上げる合弁会社の概要の報告を行った。
新会社の設立により、シャープが大阪府堺市に建設を進めてきた第10世代ガラス基板対応液晶パネル工場は、新会社に運営を委ねることなる。当初、シャープでは同工場の総投資額を3,800億円としていたが、これは土地取得代金を含めての額。合弁会社設立に伴い、土地取得代金分が省かれる代わりにモジュール工場の建設が含まれることとなり、投資額に変更が生じるものの、現時点で総額は不明としている。
覚書で交わされたのは以下の4点。
- 2009年4月をめどに合弁会社を設立する
- 出資比率はシャープが66%、ソニーが34%
- 新工場の稼働は2009年度中を目指す
- 液晶パネルおよびモジュールの供給割合は出資比率に準じる
なお、工場の稼働時期に関しては、可能な限り前倒ししていくという。新会社の社名や代表者など詳細については、現時点では決定しておらず、別途、合弁会社設立の契約締結後に決定する予定だ。
会見に際し、シャープ 代表取締役社長 片山幹雄氏は、新工場は「液晶産業が新世代に入ったことを象徴するもの」とし、素材や部材メーカーが同一敷地内に工場を構える点を強調、「これにソニーが加わることで、日本の液晶産業が飛躍的なイノベーションを実現することを確信している」(同)とした。また、両社が共同で工場を運営することにより、「液晶パネルの品質、画質、コストの面でメリットが生じるだけでなく、関連部材、装置などの技術革新も図っていける」(同)と合弁会社で運営するメリットを語り、「日本の液晶産業そのものの強化につながる」(同)ことを強調。今後は、シャープ、ソニーそして関連する素材メーカー各社が連携を行うことにより"世界No1"を目指すとした。
一方、ソニー 社長兼エレクトロニクスCEO 中鉢良治氏は、「今後、ソニーのエレクトロニクス事業における成長の最大の鍵を握るのがテレビ事業」とし、液晶パネルの安定調達が最重要課題となると合弁会社の意義を語った。また、「2008年度は世界市場で15 - 20%のシェアを獲る」(同)とし、「今回の合意は、ソニーが名実ともに世界一のテレビメーカーになるための重要なステップ」(同)と今後への期待を覗かせた。
また、Samsung Electronicsとの合弁会社であるS-LCDについても言及。「液晶パネルの基幹供給源と位置付けている」(同)とし、今後も関係に変化はないとしたものの、液晶テレビ市場の拡大に伴う大型化、価格競争力強化に向けて、もう1つの基幹供給源が必要であったとした。堺市に建設中の新工場では、第10世代のガラス基板を用いることから、S-LCDが主に製造している32V型、52V型の液晶パネルと被らない40V型が中心になるとし、「さらなる大型化も含め、幅広い液晶パネルのラインナップを手に入れることができるようになる」(同)と基幹供給源を2つに分けた意義を語った。
なお、両社ともにテレビ事業に注力していくとしており、「テレビ事業では、両社は競合となるが、世界市場でブランド力を有するソニーと良い意味で競い合い切磋琢磨していく」(片山氏)、「グローバルな販売力や商品企画力に加え、独自の画作りの技術力により、世界一の液晶テレビメーカーを目指す」(中鉢氏)とそれぞれ意気込みを語っている。