HP DSCソリューションは、データセンターの空調の最適化と自動制御を用いて、電力消費と熱量を抑制するソリューションで、1つ目の特徴は静的な最適化だ。これはHPの技術者が顧客企業のデータセンターの温度環境、空調能力、電力容量などの現状を検証、詳細に分析し、空調の位置や実際の能力、ケーブル環境、フロアパネルやラックの配置などについてその時点での問題点を指摘。その上で改善作業を実行し、データセンターの温度環境の最適化を図る。
そして静的な最適化の実施後、動的に空調を制御するシステム「HP DSC」を導入することが2つ目の特徴だ。こちらはデータセンター内に空調制御システム「HP Energy Manager」を、さらに同時にシステムラックに温度センサーを設置する。センサーはラックの吸入温度や空調機の噴出し温度を計測、「HP Energy Manager」はこれらの情報をもとにデータセンター内の温度環境を把握し、必要な空調だけを適切な強さで動作させるよう制御する。従来方式では、空調機に戻ってくる空気の温度を計測、管理していたが、「HP DSC」はこの方式に比べ、時々刻々変動する発熱量に機敏に対処できるとしている。
同社テクノロジーサービス統括本部 サービスビジネス開発本部の池田裕之氏は「データセンターの空調を動的にコントロールし最適化することで、電力コストを低く抑えることが可能になり、局所的に発生する熱の問題に能動的に対応、データセンターの安定稼動安定稼働に導くことができる」と語る。
データセンター内の消費電力の効率性を示す「PUE(Power Usage Effectiveness)」と呼ばれる指標があるが、この数値が2.5程度であると「改善が必要」だという。同社によると、国内のデータセンターの5割はこの水準で、2.0程度の「まだ改善が必要」は4割、1.6以下の「理想的」は1割に過ぎないという。同社テクノロジーソリューション事業統括 マーケティング統括本部 Adaptive Infrastructureビジネス本部 担当マネージャの高原明彦氏は「1Uサーバあたりのインフラとエネルギーのコストは、サーバ購入額の2倍になっている」と指摘、「IT機器を購入する際、(何を選ぶかとの点で)省電力性とインフラコストが非常に重視されるようになっている。HPのグリーンIT戦略では、ハード自体とともにデータセンターの改善に積極的に取り組んでいく」としている。
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テクノロジーサービス統括本部 サービスビジネス開発本部の池田裕之氏 |
テクノロジーソリューション事業統括 マーケティング統括本部 Adaptive Infrastructureビジネス本部 担当マネージャの高原明彦氏 |