米Hewlett-Packard(HP)は2月19日(現地時間)、2008年第1四半期(2007年11月-2008年1月期)決算を発表した。同四半期の売上は285億ドルで前年同期比13%の上昇、GAAPベースでの純利益は21億ドルで38%の大幅アップとなった。同社会長兼CEOのMark Hurd氏は「コスト削減効果と主要市場でのシェア拡大を反映した結果」だとコメントしており、好調HPを背景にシェア拡大のための攻めの戦略を継続していく意向を見せている。

事業別に見ていくと、パソコンなどを取り扱うパーソナルシステム部門の成長率が高い。同四半期の売上は108億ドルで全体の3分の1近くを占めており、前年同期比では24%の成長率となる。出荷数ベースでは27%の成長率で、ミッドレンジやエントリクラスの製品が好調だったことがわかる。またノートPCの成長率が37%の一方で、デスクトップPCの伸びは15%であり、ノートPCに対する需要が高まりつつある。企業向けクライアント製品の成長率は22%、コンシューマ向けは29%となっており、年末商戦の時期を経過したことでコンシューマでの成長幅が大きかった。

プリンタなどを扱うイメージング&プリンティング部門は4%成長となる73億ドル。一方でコンシューマ向けのプリンタハードウェア製品が5%の減少となっており、7%の成長を見せた商用プリンタと比較してやや頭打ちとなった。なお、インクなどのサプライ製品の売上は6%増加しており、商用プリンタと合わせて引き続き好調を維持している。

エンタープライズストレージ&サーバ部門の売上は48億ドルで年率9%成長。81%増加を実現したブレードサーバ製品が部門全体を牽引した。近年、Hurd氏主導で強化を行っているサービス部門とソフトウェア部門の売上は、それぞれ44億ドルと6億6600万ドルとなっており、ともに11%の年率成長を見せている。サービス部門はアウトソーシング業務の成長率が15%と最も高く、それにコンサルティング/インテグレーションの13%が続く。ソフトウェア部門は一連のMercuryら企業買収で強化したBTO(Business Technology Optimization)ソリューションが好調だった。

今後の見通しについては、2008年第2四半期の売上が277-279億ドル、GAAPベースの希薄済みEPSが0.77-0.78ドルを想定している。2008年度の通年売上予測は1135-1140億ドルで、GAAPベースの希薄済みEPSは3.26-3.30ドル。前四半期における2008年の売上予測は1115億ドルで、これは実質的な上方修正となる。第1四半期の売上も当初予測の274-275億ドルを上回る水準で推移しており、HPの自信がうかがえる。

現在米国を中心に世界経済は景気後退へと向かいつつあり、2008年はパソコン販売減衰と企業のIT投資の大幅抑制が見込まれている。こうした中で顧客からの発注状況が芳しくないことを報告した米Cisco、業績予測から成長の頭打ちが見えつつある米Googleや米Appleといった企業の株式は大幅に売り込まれ、今年前半の株価水準から3分の2近くまで下落する現象が見られている。

しかし、その一方で景気低迷の影響は軽微とした米IBMや米Oracle、強気の上方修正を行った米Microsoftなどは比較的好水準を維持しており、はっきりと明暗が分かれた。同様に強気の見通しを持つHPの業績予測だが、同社は第1四半期の売上の69%が米国外からのものであると述べており、BRICsなど急成長中の新興国での売上増が米本国での不調をカバーする形で引き続き成長していくことになるとみられる。