ネット掲示板や電子メールなどでなされた自殺予告について、昨年1年間に全国の警察がインターネットサービスプロバイダー(ISP)などから発信者の情報開示を受け、首をつったところを発見して病院に搬送して命を助けたり、現場に急行して練炭自殺直前に自殺を思いとどまらせたりして救った人が72人いたことが警察庁のまとめで分かった。

警察庁によると、昨年1年間に、ネット掲示板での書き込みや友人からのメールなどで自殺予告を見た人からの通報を受け、ISPなどから発信者の情報を得た後、全国の都道府県警が対応したのは121人の自殺予告。このうち、自殺既遂者を病院に運んだりして助けたのは9人、本人に説得したり家族に救助を依頼するなどして自殺前に助けたのが63人で、計72人の命を救った。そのほか、33人はいたずらなど、16人は自殺予告者を特定できなかった。

自殺予告は、68人がネット掲示板、48人が友人や警察へのメール、5人がその他の手段を使った。自殺予告を警察が知ったのは、17人が本人からの通報、58人が一般からの通報、20人がサイト管理者からの通報、5人がインターネット・ホットラインセンターからの通報によるもので、21人はその他の手段によるものだった。

対応例としては、自殺予告のメールを受信したとの通報を受けた県警が、ISPに照会して判明したメール発信者の自宅に急行、首をつった予告者を発見し、病院に搬送して助けた例がある。

また、掲示板に集団自殺を呼びかける書き込みがあるとの通報を受けた県警が、ISPに発信者を照会の上、現場に急行。七輪と目張りテープを用意して自動車内で練炭自殺をしようとしていた発信者を思いとどまらせたこともある。

警察庁では、「2007年に把握した自殺予告は前年比で42人増えるなど、対応は緊急性を増している。だが、通報を受けて発信者情報の開示を求めても、なかなか応じないなどのISPがいるため、こうした状況の改善を求めていきたい」と話している。