米下院のEdward Markey議員が米国時間の2月13日に、ネット中立性に関する新法案「Internet Freedom Preservation Act (H.R.5353)」を明らかにした。同議員はのTelecommunication and the Internet小委員会のチェアマンを務めている。

ネット中立性はインターネットの自由でオープンな本質を指す。これによりインターネット上で様々な種類のサービスが実現してきたが、その一方でスパムや違法ダウンロードなどの問題も生み出した。このような好ましくないトラフィックが通信網を圧迫し、ネットにおける公共の利益を妨げていると、接続サービスを提供する電話会社やケーブル会社が主張。それぞれのサービスと契約しているユーザーが必要とするサービスの品質を維持・向上させるためにフィルタリングなどの対策を検討し始めた。これにGoogle、Yahoo!、Microsoftなどのネット企業が、ネットの自由を脅かすと反対し、ネット中立性に関する法整備が求められるようになった。2006年にネット中立性を確保するための厳格な規則を定めた法案が米下院に提出されたが、時期尚早として大差で否決された。

06年の法案では、ISP(インターネットサービスプロバイダ)による一部のアプリケーションやコンテンツのブロック、一部ユーザーの優遇などを禁じ、違反した場合はペナルティの対象としていた。今回のMarkey法案はISPにネットの中立性を強制するのではなく、連邦通信法のブロードバンド・ポリシーにネット中立性の原則を追加するような内容となっている。すでにFCC(連邦通信委員会)は、ネットワークに害を及ぼさない範囲で、コンシューマの合法的なコンテンツへのアクセスやアプリケーションの利用を認める勧告を行っており、同法案はこの原則に沿ったネットの中立性を政府が監督し、遵守させるべきだとしている。ISPに対するペナルティの規定は盛り込まれていない。今後より厳格なネット中立性維持に向かう可能性があるものの、必ずしもFCCがネット企業と同じ視点でネット中立性を解釈するとは限らない。FCCの判断がポイントになるため、Markey法案ではFCCに対して、インターネット接続サービスにおけるコンシューマ保護、選択の自由、競争維持などについて話し合うブロードバンドサミットを全米8カ所で開催することを求めている。

FCCもネットの中立性問題を重視しており、同問題に関して専門家および一般の意見を聞く公聴会を、米国時間の2月26日にハーバード・ロー・スクールで開催すると前日に発表したばかりだった。