Mozilla Foundation, JavaScript Evangelist, John Resig氏は2007年1月21日(米国時間)、自身のブログにおいて同氏が2006年3月から執筆を開始した書籍"Pro JavaScript Techniques"の売上状況を公開した。自分の本の売上状況をそのまま公開してしまうのも珍しいが、さらにいくつかの考察を加えている点も興味深い。同氏は4回目の印税支払いでようやく追加の印税がちょっとだけ発生して嬉しいようだ。

印税率や保証印税などの仕組みは出版社や、同じ出版社内でもジャンルや著者、同じ著者でも対象となる書籍によってケースバイケースになることがある。同じ場合もあるが状況によってまちまちだ。John Resig氏のケースでは当面は4,000部を対象として、最初の4,000部は10%、4,001部から8,000部までは12.5%、8,001部から12,000部は15%、12,001部から25,000部は17.5%、それ以上は20%という印税率になっていたようだ。最初は4,000部刷るが、印税は実際に売れた冊数となっており、Amount Payableの欄がマイナス表示になっているところが目をひく。今回のケースでは1年たってようやく最初の4,000部がはけたというわけだ。

同氏はいくつか興味深い考察をしている。まず、クリスマス前にリリースした方がよく売れるというのは米国ならではだ。ギークはクリスマスプレゼントに書籍を追加するのが好きだという。技術書も米国ではクリスマス商戦の対象となりえるというわけだ。e-Bookがさっぱり売れていないという点も興味深い。技術書の初版部数が4,000部をこえることがほとんどないというのも日本と状況がよく似ている。

そして書籍がどれだけ売れているか知る方法がAmazonのランキングくらいしかないというのもおもしろい。彼の編集者はAmazonのランクが10,000以内ならかなり素晴らしく売れており、20,000以内ならかなり頑張ってる、100,000以内ならまぁそんなものだが、それ以外ならがっかりな状況としている。

米国も日本も、技術書の出版の状況はそれほどかわりがないようだ。しかし、思った以上に打ち上げが伸びないと頭を捻らすばかりではなく、売上状況を公開して考察を加えたうえで、ほかの執筆しようとしている人への情報提供とするあたりは同氏らしいといったところか。同氏は次のJavaScript本の執筆をはじめている。この分でいけば来年のクリスマスまでに出版されるのは間違いなさそうだ。