The Apache Wicket Teamは2008年早々、Apache Wicketの最新版となるApache Wicket 1.3を公開した。WicketはJavaで開発されたコンポーネントベースの軽量Webアプリケーションフレームワーク。HTMLとロジックを分離して扱えるという特徴があり、類似のWebアプリケーションフレームワークとは異なり設定ファイルや特殊なマークアップ、特殊な言語、特別なツールなどを使う必要がない。デザインとロジックの分離が明確なうえ、双方をジョイントする設定ファイルが不要という特徴がある。

Apache Wicket 1.3はApache Project傘下になってからの初のリリース。これまでインキュベータ中のリリースは実施されていたが、独立したApacheプロジェクトとしてのリリースは今回がはじめてだ。このためパッケージ名がorg.apache.wicketへ変更されていることに注意しておこう。また1.3はJDK 1.4に対応した最後のリリースとなる。次のリリースからはJava 5以降が対象となるため、JDK 1.4を対象としてWicketを使っている場合にはJava 5や6への移行を検討しておきたい。

ひとつ前のバージョンと比較して多くの機能追加やAPIの単純化が実施されている。たとえばAjaxサポートの改善、AjaxTree/AjaxTreeTableの改善、オンロード/オンドムレディーイベントサポートの追加、Google Guiceサポートの追加、JSR-168/JSR-286サポートの追加、YUIカレンダベースコンポーネントの追加、ロギングAPIをcommons-loggingからslf4jへ変更、JavaScriptリソースのgzip圧縮化などがある。

Editable Ajax tree tableの実行例

Wicketで注目すべきはサンプルコードが豊富に用意されていることだ。Editable Ajax tree tableで編集可能なツリーテーブルコンポーネントのサンプルがチェックできるほか、All examplesでかなり多くのサンプルコードをチェックできる。多くの機能が追加されたわけだが、HTMLとJavaを完全に分離したうえ設定ファイル不要という従来の特徴はそのまま引き継がれている。Webサイト構築にあたってサンプルコードが大きな開発材料となることは間違いがないところだ。雰囲気を知るうえでも、Java Webアプリケーションデベロッパは同サンプルを一度チェックしてみてほしい。