ポータルサイトの「Daum」を運営するDaum Communication(Daum)は、乳幼児用のサービス「キッズ チャン」(チャンは韓国語で「最高」の意)をオープンしたと発表した。

キッズ チャンは0~6歳の年齢層をおもな対象としたポータルサイト。同年齢層の子どもたちの目線に合わせた、有益かつ楽しいコンテンツを提供、同時に健全なインターネット環境を作ることで、子ども、親ともに安心して楽しめる場を提供することを目的としている。

Daumのキッズ チャン。子どもたちが見やすいよう、テキスト中心ではなく画像やFlashを多用したつくりとなっている

キッズ チャンを提供するにあたりDaumでは、子ども用エンターテインメントチャンネル「NICK」を提供するMTVや、韓国の子どもに人気の「ポンポンポロロ」を保有するICONIX Entertainment、子ども教育サイトを運営するDC PACなど多数の企業と提携を行った。これにより提供されるコンテンツ数は約2,000に達し、全てが無料で利用できる。

コンテンツはいずれも、乳幼児が楽しみながら学べる内容となっている。たとえば童謡や童話の読み上げ、塗り絵といった情緒や感覚を養うコンテンツを用意するほか、ハングルや英語、クイズ形式で計算や図形などを習う算数など、ちょっとした学校科目のような内容も盛り込まれている。

こうした学校科目のような内容に関しては、子どもの成長に合わせてカリキュラムが分けられている。たとえば英語を習う場合、0~3歳児に向けたアルファベット学習、4~5歳児に向けた単語学習、6~7歳児に向けた文章構築など、体系的に学ぶことができるのだ。

さらに保護者用の「父母の部屋」も用意されている。ここでは自分の子どもの学習の進度を、棒グラフによって管理することが可能だ。

子どもが飽きずにキッズ チャンを続けられるサービスも用意した。それが「恐竜村」で受け取られる恐竜カードだ。学習が終了するたびに恐竜村でカードがもらえるため、子どもたちはこれを集める楽しさが増え、学習する動機付けになるというわけだ。

子ども用ポータルは数多いものの、0歳からの乳幼児向けのコーナーというのはそれほど多くないのではないだろうか。乳幼児用サービスを提供することにした理由としてDaumでは「最近、幼児たちのインターネット利用と幼児コンテンツに対する利用者ニーズが少しずつ増加しているため」と述べている。

韓国インターネット振興院による「2007年 上半期 情報化実態調査」(全国1万世帯の3歳以上を対象に行った調査)では、満3~5歳のインターネット利用率(最近1カ月にインターネットを利用したことのある人の割合)は51.6%と、半数以上となっている。

同調査によるとよく利用するコンテンツは、「音楽、ゲーム、映画など」(89.0%)、「教育、学習」(87.3%)が圧倒的に多いので、キッズ チャンのようなWebサイトは韓国の子どもたちの平均的なインターネット利用スタイルに合っているといえる。

インターネット利用層の低年齢化が著しい韓国。これによりPCやインターネットを早い段階から駆使できるようになるというメリットはあるものの、一方で有害サイトへの接触やインターネット中毒症状なども社会問題化している。そこで政府では幼稚園や小学校に対し、インターネット上のマナーなどを学べる教科書を配布している状況だ。

子どもたちに悪影響が及ぶ恐れがあるからといって、もはやインターネット利用を避けられるような段階ではない。たとえば韓国の子どもは、夏休みの自由研究にインターネット検索やWebサイトをフル活用したり、動画で有名塾の講義映像を見るなど、1つの学習ツールとしての位置付けがしっかりとなされているのだ。

だからこそ幼児の段階から良いコンテンツに接することができるよう環境を整え、それによりインターネット社会のルールを学ぼうという考えが広まっている。そうした動きの中で、乳児までもカバーするキッズ チャンのようなコンテンツが登場してくるのは、ある意味自然な流れかもしれない。