セイコーエプソンは、東京・有明で開催されたIGAS 2007(インターナショナル・グラフィック・アーツ・ショウ)において、インクジェットラベル印刷機を参考展示した。同社が培ったマイクロピエゾインクヘッドを採用。粒状性、階調性、色安定性に優れた高画質印刷が可能で、「オフセット印刷に迫る品質でのラベル印刷が可能になる」と同社では説明する。
ここでのキーワードは「デジタル化」である。
ラベル印刷においては、依然としてアナログが主流となっており、その結果、印刷前のセットアップ時間が大幅にかかること、印刷本機での色調整や校正に多くのコストと時間を要すること、また、製版時にはフィルム、プレート、シート、薬品といった材料が必要になり、これがコストアップの原因につながるという問題が発生していた。
だが、インクジェット技術を採用することにより、こうした問題が解決できるようになる。「印刷前のセットアップ時間を短縮できることで、作業時間が大幅に削減できる。また、デジタル化によって材料コストの削減も可能になる。結果として、これまで小ロットの受注が受けられなかった企業も、細かな受注を獲得することが可能になり、多品種小ロットによるビジネス拡大が見込める」としている。
また、印刷機としてはきわめてシンプルな機構としていることで、メンテナンス性を高めているのも特徴だ。
IGAS会場のエプソンブースでは、インクジェット技術による印刷機器への応用と、そのメリットについて、熱心に質問しているシーンが見られた。
同社では、現時点では、発売時期に関しては「2008年度中」とコメントするに留まっており、価格についても未定としている。「IGASでの来場客の反応を聞いて、価格を決定したい」という。
同社では、マイクロピエゾヘッドを進化させたマイクロピエゾTFヘッドを開発。64インチ用紙に対応した大判プリンタの新製品「PX-20000」にこれを搭載したと発表している。ノズルの密度を従来比2倍の360dpiとすることで、高画質印字と高速印刷を両立できることから、印刷業界向け製品への応用が期待されている。将来的には、インクジェットラベル印刷機にも新開発のマイクロピエゾTFヘッドを搭載することになりそうだ。