ヤフーは25日、4月からβ版を提供していた動画投稿サービス「Yahoo!ビデオキャスト」の正式版を公開した。PCや携帯電話からの動画投稿に対応するほか、Yahoo!JAPANのサービスとも連携するサービス。著作権保護にも積極的に取り組んでおり、先頃、日本音楽著作権協会(JASRAC)と動画投稿サービスにおける音楽著作物の利用許諾条件で仮合意している。
ソーシャルメディア化を進めるYahoo!JAPAN
Yahoo!ビデオキャストは、PCや携帯電話から動画をアップロードできる動画投稿サービス。閲覧者はコメント(ユーザーレビュー)や点数で動画を評価することが可能で、お気に入りの動画をリスト化する「プレイリスト」機能も提供されている。また、公開されている動画をブログやWebサイトに貼り付けることも可能。同社が推進するCGM戦略「ソーシャルメディア化」の重要な柱と目されている。
Yahoo!JAPANで提供されている他のサービスとの連携も特徴で、「Yahoo!ブログ」「Yahoo!ジオシティーズ」「Yahoo!掲示板」「Yahoo!地図情報 ワイワイマップ」「Yahoo!みんなのトピックス」「Yahoo! Days」内に、動画を貼り付けることが可能だ。また、他社サービスとの連携も模索しており、5月には子会社のアルプスが提供している「ALPSLAB video」と連携、ルートマップの作成が可能になった。
動画投稿サービスにおける著作物の取り扱いでJASRACと仮合意
動画投稿サービスといえば、避けて通ることができないのが著作権保護への取り組みだ。同社は4月のベータ版リリース時に、(1)パトロールによる違法動画のチェック、(2)知的財産権保護プログラムという2つの施策で、違法動画の防止に取り組んできた。
同社は今回、JASRACが24日に発表した「動画投稿(共有)サービスにおける利用許諾条件」について、仮許諾を得ることで同意。著作権保護の取り組みを加速させている。
今回の仮許諾は「動画投稿(共有)サービスにおける利用許諾条件」にヤフーが大筋で合意し、詳細はこれから詰める段階といえる。許諾の範囲としては、(A)映像作品の権利者からの正当な許諾・提供を受けた作品における当協会の管理する音楽著作物の利用、(B)個人等の投稿者が制作した映像作品における当協会の管理する音楽著作物の利用(当面は内国曲に限る)とされている。
ここで焦点となるのは(B)で、個人ユーザーが投稿した動画に、JASRACが管理する音楽著作物が含まれていた場合、使用料が徴収されることになる。また、膨大な量の動画が投稿・共有されているサービスもあるが、許諾条件の「利用曲目報告」に沿って集計しなければならない。
仮合意では、曲目報告についてはヤフーが実施することになるが、人海戦術で集計するのか、あるいは自動化するのかなど、具体的な集計方法には「現在検討中の段階」(同社)にあるという。
同社はYahoo!ビデオキャストのベータ版を始めるにあたり、JASRACと話し合いの場を設け、様々な可能性について検討していた。