韓国の就職情報サイト「Incruit」は、企業面接における「常連質問」を発表した。これは2006年下半期から2007年上半期のた面接に登場した4,000件以上の質問を分析・分類したのものだ。

判断力、忠誠心、発展性が見られる質問

質問の分類には大きく分けて「問題解決型」「試験型」「経歴ロードマップ型」「ロト型」の4つがある。

問題解決型はその名の通り、実際の会社生活で発生する問題を提示し、それに対する対処を問う内容だ。例えば、「自社で販売された製品は1万ウォン(約1,300円)なのに、同じ時期、競合他社が販売した製品は8,000ウォン(約1,000円)だとしたら、どんな方法で自社製品を売るか?」(製薬会社)といった企業戦略的な質問から、「乱暴行為をはたらく顧客がいたらどうするか?」(銀行)、「飲み会があるのに、業務が溜まっていたら?」(半導体メーカー)といった、判断力を問うものまで幅広い。

Incruitによると、これらは高学歴でも実務で能力を発揮できない人が多いことから登場した質問だという。学歴志向の韓国ではあるが、最近はそれにプラスして問題解決力がより必要とされている。

試験型は会社への忠誠心を試す内容。「約束があるのに上司が残業を提示したら?」(ITメーカー)、「祝日や土曜に働いても大丈夫か?」(ショッピングモール)というように、時間外の勤務について尋ねることで、休みと仕事の関係に対するその人の姿勢を見る質問が多い。

Incruitによると、「残業も休日勤務も無条件で大丈夫」という答えは、かえって逆効果なのだという。空き時間は能力アップや良い仕事をするために必要と考えられているためで、これらの活動と仕事をうまく調和させられるのかを見極めようとしているのだ。

経歴ロードマップ型は、自身がどう発展していくのかを探る質問だ。「10年後の自分の姿を話してみてみてください」(保険会社)といった、数年後の自分を問うことで、その人の発展性を判断する。

ここでは実現可能性の高い計画を、具体的に説明するのが説得力が大きいようだ。

突拍子のない質問も

ロト型というのは、韓国で人気の宝くじ「ロト」にまつわるもの。韓国では6つの数字を合わせ、1等が当たれば何百億ウォンもの賞金が当たるロトが大人気だ。ロトの当選番号が発表される毎週土曜日になると、「ロト」関連の言葉が検索ポータルの人気キーワードランキング上位に位置するのが恒例となっている。

面接では「ロトで1等が当選しても勤務するつもりか?」(運送会社)、「1億ウォンを手にしたら、どこで、どのように使うつもりか?」(建設会社)などといったお金関係の質問が飛び交う。もちろん遠慮なく「辞めます」では脱落。自分で当てたお金の使い道は自由とはいえ、このような質問でも忠誠心や金銭感覚が試されているのだ。

この他に目についた質問も、いくつか紹介されている。

「韓米FTAに関して、韓国企業が打撃を受けるのかどうかを説明してください」(機械メーカー)といった質問は、時事問題をテーマにした典型的な質問。普段から社会に目を向けているのかがテストされる。

また、「歯がとても痛くて歯医者に来ているのに、会社で急な仕事が生じてしまったらどうするか?」(家電メーカー)、「前にある山を100m横に動かすため、もっとも効率的な方法は?」(化学会社)というように、予想もできない質問で相手の反応を見るものもある。

Incuruitではこれらの質問について「正しい答えというものはない」と述べ、「普段から面接情報に接して、自分だけの回答を準備するのが良い」と攻略法について説明している。

面接で投げかけられる質問には、良い人材を採用したいという最終的な願いが込められているもの。これは韓国の例ではあるが、日本にもある程度通じるものがあるのではないだろうか。