このところ、韓国ではブログや掲示板などに寄せられる「アクプル(悪意のあるコメント)」が社会問題化しているのだが、アクプルによるものと思われる被害がまた発生した。

番組出演がきっかけで自殺

事件発生の発端となったのは、テレビ局SBSの「スターキング」という番組だ。この番組は、検索ポータルで人気キーワード1位となり得るほど優れた才能を持つ人、不思議な出来事を体験した人、特異な人物、動物、物などを紹介する番組だ。

この番組に出演した女子高生が、先日自殺してしまうという事件が起こった。この女子高生がスターキングに出場できた理由は、3カ月でなんと約40Kgものダイエットに成功したため。番組ではダイエット前の写真も公開するなどして、彼女の驚くべき変貌ぶりを紹介した。

しかし女子高生が番組に出演した後、彼女のダイエット方法について根拠のない憶測やアクプルが多く掲載された。また、彼女が有名芸能人と一緒に撮った写真がインターネットに流出し、嫉妬したファンたちから言葉の攻撃を受けることになってしまったのだ。女子高生はこうしたアクプル攻撃に耐えられなくなり、自殺したと言われている。

最近頻発しているアクプル問題による被害者がまた1人増えてしまったこの事件、韓国では大変深刻に受け止められている。

大学生のアクプル経験者は28%

ところで、こうしたアクプルについて、アルバイト情報サイト「アルバモン」を運営するJOB KOREAが調査している。この調査は大学生の男女518人を対象に、「インターネットのコメント文化」というテーマで実施された。

これによると、全体の68%が「現在、インターネットのコメント文化の水準は低く、アクプラー(アクプルを書く人)天国である」と考えていることが明らかとなった。逆に「多様なネティズンが意見交換する世論の窓」と肯定的に考えている人は20.3%に過ぎず、「そこそこ楽しんでストレスを解消する1つの遊び文化にすぎない」との答えも8%いた。

実際に「芸能人や政治家など、特定の人物を卑下するためにアクプルを書いたことがある」という人は28.4%となっている。このうち25歳以上は18.3%、19~20歳では38.2%が、アクプルを書いたことがあると答えており、年齢が低くなるほどアクプル記載率も高いことが分かった。

このほか、韓国では悪意あるコメントではなくとも、他人の目を引いたりアクセスを高めるため、センセーショナルな内容のコメントや大げさ・虚偽のコメントを書く「釣り」という行為もある。この釣りコメントを書いたことのある人も19%に達していた。

大学生たちはアクプル解決のために何が必要と考えているのだろうか。この質問には41.5%が「他人への配慮」、35.7%が「その場の状況に対する正しい認識」、18.5%が「インターネット実名制などの制度的措置」と答えている。

こうしてみると、アクプルの対処には、制度よりも各々の認識や配慮が大切ということが頭では理解していても、実際にコメントする段階になるとつい書いてしまうものなのかもしれない。しかし、これ以上の被害者を出さないためにも、「頭ではわかっているけれど……」という今の状況を打破する努力がいっそう必要になりそうだ。

大学生がインターネット上で行ったことのあるコメント関連の行為(単位:%)
出典: JOB KOREA
翻訳: 佐々木朋美