国内の情報システムベンダー11社で構成される電子情報技術産業協会(JEITA)は14日、2006年度の「ソフトウェア・ソリューションサービス市場規模調査」の結果を発表した。SI開発、ソフトウェア、アウトソーシング各市場規模合計は5兆3,850億円で、前年度比1%の微増となった。JEITAソリューションサービス事業委員会委員長で富士通総研常務の伊藤大挙氏は「SIの生産性を高めるなどの課題はあるが、アウトソーシングやソフトウェア市場は堅調を維持している。個人的には、2007年度のアウトソーシング市場の伸びは5%に達すると見ている」との見解を披露した。

「アウトソーシング市場の伸びに期待している」と語る富士通総研常務の伊藤大挙氏

調査の対象となったのは、JEITAに加盟するセイコーエプソン、沖電気工業、シャープ、東芝、日本IBM、NEC、日本ユニシス、日立製作所、富士通、松下電器、三菱電機の大手情報システム関連ベンダー11社。JEITAでは、「これらの企業の動向を見れば、ソフトウェア・ソリューションサービス市場の大まかな流れはつかめるのではないか」(専務理事の吹譯正憲氏)とする一方、「組み込みソフトなどの市場規模は反映されていない」(同)としている。

2006年度の分野別内訳を見ると、コンサルティング、システムインテグレーションなどのSI開発は2兆4,189億円で前年度比6%減、アプリケーションパッケージ、ミドルウェアなどのソフトウェアは7,689億円と同12%増、アウトソーシングは同7%増の2兆1,972億円となった。SIの伸び悩みについて伊藤氏は「事業モデルの過渡期にあり、ビジネスのやり方が変わってきていることが影響している。事業契約の結び方などの改善をする必要がある」と述べた。アウトソーシングについては、「『自前でシステム開発をするよりもプロに任せたほうがいい』との企業の意識変革が背景にある」と指摘した。

また、サーバーやワークステーション、パソコンなど、JEITA加盟企業の2006年度ハードウェア市場規模が2兆4,380億円だったことを挙げ「ソフトウェア・ソリューションの市場規模はこの倍に達している」と強調、技術革新によるハードウェアの価格下落により、ソフトウェア・ソリューション市場の比重が一層増していくとの見通しを示した。

JEITAでは、景気回復や企業のIT活用の広がりなどにより、2007年度の同市場規模が前年度比2~3%増の5兆5000億円になると予測。特にアウトソーシング市場について伊藤氏は、「個人的には5%程度の伸びを示すのではないかと見ている」との見解を披露した。