韓国の通信会社KTは異なるネットワークや端末同士で、テレビ電話やメッセンジャーなどのコミュニケーションサービスを可能とする、統合コミュニケーションサービスプラットフォームを構築したと発表した。

KTによると、これは固定回線のネットワークや移動体通信などのサービスをIP化したシステム「IMS (IP Multimedia Subsystem)」を基盤としたプラットフォームだ。

このプラットフォームにより、異なる端末やネットワーク同士の相互連動が可能となる。たとえば自宅でノートPCをWiBro網に接続している人と、外出先でHSDPAに対応した携帯電話を利用している人との間で、音声および映像によるコミュニケーションが可能となるのだ。ちなみにここで使われる端末は専用端末ではなく、既存の端末で利用できるという。

しかもWiBroとHSDPAの連動だけでなく、WiBroとADSLなどのブロードバンド、HSDPAとFTTHなど、さまざまなネットワークおよびそれに対応した端末間の連動が可能となる。

ユーザーはこれにより「個人情報管理や住所録、インスタントメッセンジャーやマルチメディアメッセージ、映像会議などのサービスを(シームレスに)利用できるようになる」(KT)という。

KTは既にこのプラットフォームを、自社のWiBroネットワークのメッセンジャーやテレビ電話サービスで提供している。今のところはWiBroのみの対応だが、今後はHSDPAネットワークとの連動を通じて、WiBro - HSDPA間でメッセージのやり取りができるようにサービスを開発している。2007年下半期には実現する見込みだ。

ところで、WiBroとHSDPAを連動した場合、気になるのがネットワークの対応エリアだ。KTの場合、HSDPA網は子会社であるKTFのものを利用することが予想され、また同社のHSDPA網は3月初旬から全国サービスに対応している。一方、WiBroは2007年4月にやっとソウル全域でのサービスに対応、ソウル以外では利用できない。そのため「今のところWiBro以外の地域に出れば、接続も切れてしまう」(KT)という。

全国的な連動を可能にするには、WiBro以外のネットワーク連動も必要になる。今のところKTが考えている具体的なネットワークは、VoIPやブロードバンドなどで、これに関する技術を開発している最中だ。

ただし、WiBroやHSDPAといった規格との連動について、KT担当者は「技術的に可能ではあるが、そのネットワークを提供している事業者との連動、そして利用者のニーズといった課題にぶつかるので、すぐに実現するものではない」と述べている。

ネットワーク規格や端末に縛られない、自由なコミュニケーションが可能となるサービスが可能となれば、ユーザーの自由度は大きく増す。2007年下半期からのサービス拡大に期待したい。