サンノゼ会場では、米Googleのエンジニアリング部門バイスプレジデントのJeff Huber氏のキーノートでイベントの幕が開けた。「今回のイベントは、Googleにとって初の開発者カンファレンスとなる。全世界で5000人、ここベイエリア(サンノゼ会場のある一帯の名称)では1500人の開発者が集まった」と同氏は述べ、このイベントが記念すべき一歩となったことを強調した。同氏によれば、去年の同時期にも200人ほどを集めた小規模な開発者イベントがGoogle本社で開催されているが、ここまでの規模の一般参加イベントは初めてだという。

基調講演を聴くために集まった人で超満員の会場。今回の参加者は1500人規模だったという

米Googleエンジニアリング部門バイスプレジデントのJeff Huber氏。Googleと開発者の関係について歴史を振り返る

Googleにとっての開発者とは、自身のサービスを盛り上げエコシステムを一緒に積み上げていく存在であり、一方で開発者にとってのGoogleとは、自身が開発するアプリケーションのプラットフォームを提供してくれる存在である。プラットフォームとは、アプリケーションやデータを保管・実行するサーバやストレージ、Google API群、マッシュアップ、そして利益を得るためのターゲット広告配信システムである。これらプラットフォームを活用することで、開発者は次世代のWebアプリケーションを開発できるようになるというのがGoogleの考えだ。

Huber氏によれば、これら開発者を支援するGoogleのツール製品は3つのカテゴリに分類されるという。1つは"マッシュアップ"と呼ばれるサービス同士を結びつけ、Googleのサービスを自身のアプリケーションに取り込む「Integrate」。2つめが、自身のサービスをさらに多くのユーザーに利用してもらうための仕組み「Reach」。最後の3つめが、次世代のWebアプリケーションを構築していくためのベースを提供する「Build」だ。

Googleの提唱するアプリケーション開発モデル。インフラ、API、マッシュアップ、ターゲット広告配信システムなど、Googleプラットフォームを構成する数々の仕組みを用いてアプリケーションを構成する

当初は検索API程度だった開発フレームワークが、2005年のMaps APIとGadgets APIのリリースを境に急造していることがわかる

Huber氏は特に"マッシュアップ"というキーワードに焦点を当てた。マッシュアップという概念は、3D CGクリエイターのPaul Rademacher氏によって作られたと言われている。2005年当時、DreamWorksのスタジオで働いていた同氏は、そのころGoogleによって公開されたGoogle Mapsをハッキングし、売買情報掲載サービスのCraigslistと連携させることを試みた。Google Mapsの地図上にCraigslistの住宅情報が埋め込まれて一覧表示されるそのサービスは、HougingMapsの名称で一般公開され、瞬く間に話題を呼んだ。Web 2.0の提唱者Tim O'Reilly氏が「最初のマッシュアップ活用例であり、Web 2.0のスタイルを体現した初のサービス」と絶賛するHousingMapsだが、Huber氏によれば「Paulは新居を探していただけ」という単純な動機によるものだという。現在、Rademacher氏は正式にGoogleに参加し、数々のプロジェクトでその腕をふるっている。