Ajaxのサポート

Ajax の普及にともない、JavaScriptエディタが強化された。これまでも構文の強調表示が可能な簡易JavaScriptエディタが搭載されていたが、 11gでは新たに構文チェックや入力補完機能が可能な本格的なエディタとなっている。また、Firefoxと連携したJavaScriptのデバッグも可能だ。

図2 JavaScriptデバッガ

JavaScriptのデバッグを行うにはプロジェクトの設定ダイアログの「Run/Debug/Profile」から実行環境の設定を行い、Firefoxにデバッグ用の拡張をインストールする必要がある。

図3 JavaScript実行環境の設定

プレビュー版では「Stop on error」のチェックを外しておかないとデバッグを行うことができなかった。この問題はすでにJDeveloperのフォーラムにも報告されており、正式版では修正されるはずだ。

このほかにもJDeveloper 11gでは、ADF Faces Rich ClientとしてAjaxに対応した多数のJSFコンポーネントが用意されている。また、ADF Task FlowというJSFアプリケーションのタスクフローを制御するための機能も追加されている。なお、プレビュー版ではこれまでサポートされていたStruts関連の機能がまったく含まれていないが、正式版には含まれる予定とのことだ。

データベース開発機能の強化

オンラインデータベースを操作するための機能が大幅に強化されている。Oracleはスタンドアロンで動作するSQLDeveloperというデータベース用の開発ツールも提供しているが、これと同等の機能がJDeveloperでも利用可能となっており、Database Navigatorビューからテーブルの追加や変更など様々な操作が行えるようになっている。

図4 Database Navigator

また、SQLをビジュアルに作成するためのクエリビルダが新たに搭載されている。クエリビルダはSQLワークシートでアクティブな接続を選んだ状態で右クリックから「Query Builder」を選択することで起動することができる。

図5 クエリビルダ

これらの機能はOracle向けに最適化されており、すべてのデータベースでこれらの機能を利用できるというわけではない。しかし、PL/SQLの開発支援なども含めたデータベース周辺機能の充実ぶりは「さすがOracle」といったところだろうか。

まとめ

JDeveloper 11gはたしかに高機能なIDEではあるものの、肝心のJavaのコーディング支援に関してはEclipseやNetBeans 6.0といったオープンソースのIDEと比較するとまだまだ弱いように感じる。また、11gはJavaEE 5準拠とのことであるが、EJB3やJSFといった主要な仕様については前バージョンからサポートしていたということもあり、今回のバージョンアップは Ajax/リッチクライアントへの対応やOracle独自のフレームワークであるADF周辺の強化が目立つリリースとなっている。

もともと単独のIDEというよりはOracle製品との相性の良さがウリのJDeveloperではあるが、SQLDeveloper相当の機能が JDeveloper上から利用できるようになったこともあり、とくにOracleデータベースとの親和性はより向上している。Java統合開発環境としてのみならず、データベース開発環境としても威力を発揮するIDEといえそうだ。