調査機関iResearchが発表した調査結果によると、中国では2006年12月までにネットショッピング人口が4,310万に達したという。2005年より32.6%も増加し、2010年には1億人を突破する見込みだ。現在中国におけるネット取引の総額は312億元に達し、2005年より61.6%も増えている。

ネット取引が急激に拡大しているなかで、いくつか問題も表面化してきた。最も大きな問題は、契約紛争と詐欺だ。身分、信用状況、契約を果たす能力など取引にとって非常に重要な事項を、ネット取引では正確に把握できない場合が多々あるため、契約紛争と詐欺などの悪質なケースが頻発している。今回ガイドラインが発表された背景には、こうした深刻な実情がある。

ネット取引における管理問題も、中国におけるネット取引の問題の一つとして注目されている。

2005年5月24日付けで発表されたガイドラインの草案はこの問題を念頭に置きつつ、ネット取引関係者には、工商管理機関による審査を義務付けるべきだと提案していた。B2B、B2C、B2Gに比べると、C2Cが最も活発であるが、その一面、審査、登録、税金などで管理しにくいという特徴がある。しかも審査、税金徴収を強化すれば、取引コストを増加させ、C2Cの発展には不利だとの意見もあった。工商管理機関による審査などが、今度の暫定版に盛り込まれなかったことは、上記を考慮した結果だといえる。商務部は、管理上の問題点を暫時先送りしても、ネット取引の発展を優先させたかったようだ。

ガイドラインはその性格上、法的な拘束力がないため、どれほどの効果を得られるかは未知数である。いずれにせよ、急激な拡大を続ける中国におけるネット取引が今後どのように推移するか、そして、契約紛争や詐欺の頻発に行政当局が今後どのように対処するかが注目されるところだ。