銀座のクラブに勤務する筆者が「銀座に出没するちょっと残念なおじさん」をご紹介します。
今回ご紹介するのは、「体験入店初日の女の子が大好きなおじさん」です。
ウブで可愛いあの子
銀座などのクラブでは、ホステスとして働きたい方にむけて「体験入店」という機会を設けています。「体験入店」とは、正式に在籍する前に数日間(たいていは1日)だけお試しで働ける制度のことです。これは、お店の雰囲気や客層、実際の業務内容、スタッフや先輩ホステス、ママとの相性を確認するためのステップとして活用されています。
銀座のクラブなどに体験入店に訪れる女の子の中にはナイトワーク未経験の、いわゆる“素人”さんもいらっしゃいます。
例えば歯科クリニックや美容室を利用する際は、なるべく「ベテラン」の歯科医師、美容師さんに治療やカット、カラーをお願いしたいところですし、ベテランを差し置いて「素人」が好まれる現場というのは基本的には少ない、というか皆無だと思われるのですが、どうしてかこういった業界ではまれに「素人」を好む男性がいます。
業界未経験の体験入店さんを好む男性の心理には「女の子を自分好みに育てたい」「素朴さや新鮮さを楽しみたい」「スレた女は嫌い」といったものがありそうですが、それよりも
「最初のオトナの男として教えてあげたい」
といった心理が強く働いているように感じます。そして自分にだけ向けられる「さすがです」「知らなかった!」「すっごーい」という言葉に胸が高鳴るのです。たぶん。
寿司屋でうんちくたれるおじさんにだけはなりたくない
私にも「体験入店初日の女の子」だったことはあります。
初日のその日は、おしぼりや灰皿交換の際にホステスが用いるハンドサインなどこのお仕事にまつわる小ネタ、または「スパークリングワインとシャンパンの違い」などワインに関する豆知識等について、まさに「教えてあげよう」と張り切ってくれるおじさんが数人いました。
まだウブで可愛かった私は心の底から
「さすがです!」
「知らなかった!」
「すっごーい」
と驚き、目を輝かせていたと思います。
正式にそのお店に入店することが決まったその週の金曜日に、「教えてあげよう」のおじさんのひとりが同伴をしてくれました。
お寿司屋さんのカウンターで「ネギトロのネギって野菜のネギじゃないんだよ」「良いお寿司屋さんの見分け方はね……」とおじさんは大いに語った後、タイかヒラメかなにかに添えられた柚子胡椒をひと口あじわって
「このワサビ、すごく美味しい!美味しいワサビってね……」
と、再び大いに語り始めました。そのとき板前さんたちのお顔が一瞬シラーっとしたのをよく覚えています。
よりイージーな方が選ばれやすい
今回は「体験入店初日の女の子が大好きなおじさん」について紹介しました。
まだウブで可愛い、そして右も左もわからない女の子に「教えてあげよう」と張り切るおじさんは珍しくありません。「すっごーい」と心の底から驚いてくれる彼女たちの姿に自尊心や承認欲求が強く満たされますよね。あと、単純にベテランの口から「すっごーい」を引き出すのは結構至難の業だったりもするし。人はよりイージーな道を選ぶものです。


