中国は今後、アメリカを超えて“世界の頂点”に立つのか――。経済成長を続ける中国だが、元外交官の山中俊之氏は「長期的には成長の天井に突き当たる可能性がある」と指摘する。
その背景にあるのは、人口減少だけではない。「優秀な人材が集まるアメリカ」と「優秀な人材が流出する中国」の決定的な差とは何か。
山中氏の著書『世界のエリートが学んでいる教養としての超現代史』(SB新書)から、一部を抜粋して紹介する。
中国が世界の頂点に立ち、リーダーとなる未来は来るのか
何が中国の「成長の天井」となりうるか
中国の未来を考える際に鍵となるのは、「人口減少」と「人材確保の難しさ」です。
中国はすでに少子高齢化のフェーズに入っており、若年人口が増え続けているインドやアフリカ諸国とは異なる人口構成になっていくことは必至です。一方、国内の政治的制約や将来への不安から、優秀な人材がアメリカなど海外に渡る動きも加速しています。
今や中国は世界第2位の経済大国。しかし、アメリカのように世界中から優秀な人材が集まるという状況にはなっていません。シンガポールやインドから見ると、アメリカより中国のほうが距離的には近い。しかし、こうした国々の優秀な人材が起業や留学先として選ぶのは、中国もゼロではないのでしょうが、やはり圧倒的にアメリカなのです。
これに加えて、中国からアメリカへと渡る人も、第2次トランプ政権で陰かげりは見えるもののこれまでは増えていました。今や世界第1位と第2位の経済大国は、今後のアメリカの移民政策などにより左右される面はありますが、片や「優秀な人材が集まるアメリカ」、片や「優秀な人材が流出する中国」と、人材確保の点では違いがあります。
そう考えられる理由は単純かつ明白です。
アメリカはもともと移民がつくった国です。トランプ政権によって排外的になったと見られている節もありますが、さまざまな出自の人々が暮らしているという元来の多様性自体は損なわれていません。中国が海外から起業家や留学生を受け入れる器となるには、そうした「国としての多様性の受容」が欠けているのです。東アジアの漢字文化圏の人を除き、習得が相当に難しい中国語の存在や共産党一党支配の政治体制も大きな障壁になります。
中国は人口も世界第2位の巨大国家ですから、人口減少といっても、すぐに問題になるわけではないでしょう。14億もの人口に支えられて、今後しばらくはアメリカに次ぐ経済大国であり続けるはずです。ただし長期的に考えると、優秀な人材の流入が少ないことが、中国の成長の天井になっていく可能性は十分に考えられます。
『世界のエリートが学んでいる教養としての超現代史』(山中俊之/SB新書)
本書では、9つの国・地域について、世界の潮目が変わった「2010年以降」の超現代史を近代から近世、ときには古代史にまで遡りながら解説する。アメリカの「自国第一主義」/ロシアを突き動かす「侵略への恐怖」/中国がこだわる「国家のメンツ」――歴史を知れば、各国の思惑がわかる。世界107カ国に赴き、各国のリアルを知り尽くした元外交官が教える、分断が進む世界を生き抜くための必須教養。


