メルセデス・ベンツ「W124」、フォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」と続いてきた連載「名車と暮らせば」。ゴルフⅡ編の最終回でお伝えしたとおり、これからの主役は初代「ゴルフ」のオープンモデル「ゴルフ カブリオ」だ。
ちなみに、名称の「カブリオ」(Cabriolet)は「カブリオレ」と呼ばれることもあるようだが、本稿では前者の名前で統一することにした。
ゴルフ カブリオってどんなクルマ?
カブリオのベースとなった初代ゴルフといえば、水冷横置きエンジンを搭載したFF(フロントエンジン・フロントドライブ)2BOXの四角いスタイルが特徴。1960年代までフォルクスワーゲン(VW)の屋台骨を支えていた空冷RR(リアエンジン・リアドライブ)の丸い「タイプ1」(ビートル)から見れば、180度のイメージチェンジだ。「小型実用車デザインに革命をもたらした1台」とも言われる初代ゴルフは、1974年にデビューするやいなや、そのブレッド&バターぶりが世界中で大人気に。デザインとパッケージングを担当したのは、かのジョルジェット・ジウジアーロである。
ボディは全長3,725mm、全幅1,610mm、全高1,410mm、ホイールベースは2,400mm、重量は780kg。当初のエンジンは1.6L直列4気筒SOHCで、1.5Lや1.7L、ディーゼルモデルも存在する。1983年までに生産台数は680万台に到達。日本では1975年からヤナセが輸入、販売を行った。
そんな初代ゴルフの屋根をぶった切って(いささか乱暴な言い方だが)1979年に誕生したのがカブリオだ。折りたたみ式ソフトトップ(幌)のコーチワークを担当したのはドイツのカルマン社。同社はビートル カブリオ以来、VWのオープンモデルを作り出してきた名門で、フロントフェンダーにはその社名「KARMANN」のロゴとともに、工場があったオスナブリュック市の紋章である車輪のマークが描かれたエンブレムを装着している。
筆者が専門店のスピニングガレージ(神奈川県相模原市)で手に入れたのは、紺色ボディに紺色の幌、ブラックレザー内装の後期モデル「クラシックライン」(1991年式)。ボディサイズは全長3,895mm、全幅1,630mm、全高1,410mmで、車重は1,070kgだ。
「ストロベリーバスケット」の愛称で呼ばれたロールバーを装着した独特の姿が印象的な個体の詳細はまた次回以降に。まずは、納車日直前に行われたスピニングガレージ主催のファンミーティング「宮ヶ瀬ミート」を訪れ、カブリオのオーナーに話を聞いてみた。
VWの名車が湖畔に集結
スピニングガレージが今回初めて開催した「宮ヶ瀬ミート」は、ゴルフⅡ、ジェッタⅡ、初代ゴルフのカブリオに乗るスピニングガレージのオーナーさんを対象にした交流会。会場となったのは同社から程近い宮ヶ瀬湖の小中沢駐車場だ。
雪の予報で順延された3月1日の当日は朝から晴天で、10時のスタート時刻前からオーナーさんご自慢の愛車達がどんどんと集まってくる。普段は工場内で寡黙に整備を行っているスピニングのスタッフ達も、慣れない受付や誘導の作業に手一杯状態で、見ていてちょっと笑えてしまう。
到着した人たちを見ていると、お1人で、カップル・ご夫婦で、家族でなどさまざまで、ゴルフの持つ幅広い魅力がしっかりと伝わっている様子が見て取れる。クルマもドノーマルからガチガチに手を入れた(決して下品にはなっていない)状態のものまであって、見ているだけで楽しい。
事前予約なしで計103台が集合した今回のイベントで、カブリオ率は約1割。多摩、湘南、横浜などの近場から、仙台、熊谷、浜松などの遠出組までいらっしゃって、みなさんしっかりとオープン状態で会場入りする姿がカッコいい。
さて、そんな先輩オーナーたちに筆者が聞きたかったのは、「カブリオに乗るときは、どの程度の割合で屋根を開けて走っているのか?」ということ。結果は、「普段は閉じていて、オープンにするのは春秋の気候の良い時期と観光地など景色の良い場所に行ったときだけ」という回答がほとんどだった。
お1人だけ、「家を出たら必ず開けて走るよ。このクルマはオカズのいらない白飯のようなもので、何の気兼ねなく乗れるので」という浜松ナンバーのグリーン×ベージュ内装のオーナーさんがいらした。「晴れた日に傘をさしますか?」というのがその理由だ。一方で、普段閉めている方にとっては、「晴れた日でも日傘をさしますよね」という話なのだろう。どちらもありだが、みなさん、どう思われます?
会場では、好きなクルマへの投票やじゃんけん大会、子供の塗り絵コーナー、今後ゴルフⅡに乗りたいというオーナー予備軍(30台ほど集まっていた)の同乗体験などがあり、中でも人気があったのが小林則夫“工場長”による「コバトーク」。出先で黒煙が出て調子が悪くなったとき、夏場に水温が上がったときなど、ちょっとしたトラブルの時にドライバーはどう対処したらいいのかという事例を、ゴルフⅡのボンネットを開けて伝授してくれた。真剣な表情で聞き入っていた参加者たちにしてみれば、いつ自分に降りかかるかもしれないトラブルなので、他人ごとではないのだ。
全員の集合写真撮影後に順次お開きとなったのだが、後日スピニングに話を聞くと、「会場にはゴミひとつ残っていなかったのがとてもすばらしかった」とのこと。ゴルフに乗るお客さんの品の良さが伝わる話だ。次回開催は未定だが、今度あったらカブリオで絶対に参加しようと思えた、のんびり、楽しいイベントだった。























