首都圏の中古マンション市場に変化の兆しが見え始めている。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が公表した2026年6月の市場動向によると、成約件数は3カ月連続で前年を下回る一方、在庫件数は4カ月連続で増加した。

また、東京カンテイの調査では首都圏全体の中古マンション価格は上昇基調を維持するものの、東京23区では26カ月ぶりに前月比で下落するなど、これまで続いてきた価格上昇にも変化が見え始めている。

成約件数は3カ月連続で減少 在庫は4カ月連続の増加

東日本レインズによると、2026年6月の首都圏中古マンションの成約件数は4,241件となり、前年同月比1.3%減と3カ月連続で前年を下回った。一方、新規登録件数は1万6,277件で前年同月比1.7%増と2カ月ぶりに増加。在庫件数も4万5,995件と前年同月比3.5%増となり、4カ月連続で増加している。

成約㎡単価は82.64万円で前年同月比0.8%減、成約価格は5,208万円で前年同月比0.02%減と、いずれもほぼ横ばいながら2カ月連続で前年実績を下回った。一方で、前月比では㎡単価が2.3%、成約価格が2.8%上昇しており、価格水準自体は依然として高い状況が続いている。

売り出し価格は上昇継続も、東京23区では調整局面に

売り出し価格を見ると、東京カンテイがまとめた2026年6月の首都圏中古マンション70㎡換算価格は7,454万円となり、前月比1.3%上昇。23カ月連続で上昇を続けている。

都県別では神奈川県が4,326万円(前月比1.4%増)、埼玉県が3,252万円(同0.9%増)、千葉県が2,990万円(同0.2%増)と上昇基調が続いた。

一方で東京都は1億1,248万円とほぼ横ばいとなり、2024年5月以降続いていた上昇傾向が一服。さらに東京23区では70㎡換算価格が1億2,741万円となり、前月比0.8%下落。26カ月ぶりのマイナスとなり、都心部では価格調整の兆しも見え始めている。

東京都区部は成約減少、周辺エリアは需要が堅調

地域別の成約件数を見ると、東京都区部は1,716件で前年同月比12.8%減と6カ月連続で減少。一方、多摩地区は7.4%増、神奈川県は7.0%増、埼玉県は2.9%増、千葉県は19.0%増と、東京都区部以外では堅調な取引が続いた。

価格面では東京都区部の成約㎡単価は131.15万円となり、前年同月比1.5%増で74カ月連続の上昇を記録。横浜・川崎市や埼玉県、千葉県でも価格上昇が続いており、需要が都心から周辺エリアへ広がる傾向も見られる。

  • 首都圏の中古マンション市場に変化の兆し

    首都圏の中古マンション市場に変化の兆し

市場は「高値維持」から「選別」の局面へ

こうした市場の変化について、不動産売却プラットフォームを展開する株式会社すむたすの代表取締役、角高広氏は次のように分析する。

「首都圏中古マンション市場は、『売出価格が高止まりし、取引が鈍化する』という調整局面の入口にさしかかっているように見えます。在庫が4カ月連続で増加する一方、成約件数が3カ月連続で減少しているのは、売り手の価格期待と買い手の実需にズレが生じ始めているサインと考えられます。特に注目すべきは、東京23区の売り出し価格が26カ月ぶりに前月比マイナスに転じ、都心部では価格改定シェアが過半数を超えるまで拡大している点です。一方、神奈川・埼玉・千葉の成約件数は堅調を維持しており、需要の重心が都心から周辺エリアへ移行しつつある構造変化が改めて鮮明になっています。都心から始まった価格調整が周辺エリアに波及するかどうか、今後2〜3カ月の動向が市場の方向性を見極めるうえで重要な局面になるのではないかと思います。」

東京23区を中心に続いてきた価格上昇にも変化の兆しが見え始めた首都圏中古マンション市場。今後は在庫動向や価格改定の広がり、周辺エリアへの影響などが、市場の転換点を見極める重要なポイントとなりそうだ。