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値上げで客離れも、過去最高益の「ココイチ」――地元の億り人投資家が語る"投資先"としての魅力

Updated OCT. 09, 2025 16:52
Text : 西脇章太
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相次ぐ値上げで客単価は1200円台に達し、一部で"客離れ"の懸念もある。それでも「カレーハウスCoCo壱番屋」(以下、ココイチ)を展開する壱番屋は、2025年2月期に過去最高益を更新した。

店舗を訪れると昼時にはサラリーマンや中高年層が多く見られ、特に50代からの人気が根強いと指摘する記事もある。ゆったりとした客席や安定した味わい、豊富なトッピングが「安心して通える外食」として定着しているのだ。

株式市場では、2025年の株価が865~1025円のレンジで推移しており、業績の堅調さの割に割安感があるとの見方もある。

国内市場が成熟期を迎えるなかで、同社はどのように成長を描くのか。今回は、ココイチ発祥の東海地区に暮らし、30年の投資歴を持つベテラン投資家・なごちょう(X:@Nagoya_Tyouki)氏に話を伺った。

支持される理由は「快適さ」と「選ぶ楽しさ」

ココイチは2022年以降、原材料高騰を背景に複数回の値上げを行ってきた。2024年8月には最大10.5%の値上げを実施し、客単価は1200円前後まで上昇した。

一方で2025年2月期第3四半期の既存店客数は4.9%減少したが、売上全体では前年を上回り、値上げが来店者数の減少を補った格好だ。

「値段が高くても、本当においしいと感じられるものならお金を払います。特に50代以上の顧客層にはその傾向が強く、値上げをしても来店し続けているのだと思いますよ」(なごちょう氏)

実際、50代を中心とする中高年層は「安全性」「味の安定感」「食の質」を重視する傾向が調査で示されている。農林水産省の統計によれば、50代の食料消費支出は世代別で高い水準にあり、外食・中食で“質”を求める姿勢が目立つ(※)。

※ 農林水産省「食料・農業・農村白書(令和元年)」

また、日本政策金融公庫の調査でも、中高年層は「旬の食材」や「おいしい飲食店の情報」を積極的に収集するなど、美食志向の強さが裏付けられている(※)。

※ 日本政策金融公庫「消費者動向に関するアンケート調査(2024年)」

「私もココイチにはよく行きますが、提供スピードが速く、接客も丁寧です。さらに一人あたりのスペースが広く、ゆったり過ごせる。こうした快適さが中高年層に支持される理由の一つではないでしょうか」(なごちょう氏)

  • 「辛さやライスの量を自由に調整でき、豊富なトッピングで自分好みの一皿にできる点も固定客を支える要因だと思いますね」となごちょう氏

    「辛さやライスの量を自由に調整でき、豊富なトッピングで自分好みの一皿にできる点も固定客を支える要因だと思いますね」となごちょう氏

株価とバリュエーションをどう見るか

ココイチを運営する壱番屋(7630)は東証プライムに上場しており、2025年の株価は865~1025円で推移している。業績の安定感を踏まえれば割安との見方もあり、株主優待や無借金経営といった安心材料が個人投資家からの支持につながっている。

「今はPERやPBRなどのバリュエーションが高めですが、将来の成長を踏まえれば、割安と評価することもできるのではないでしょうか。財務が安定していて優待もある。これが投資家にとって安心材料になっているのだと思います」(なごちょう氏)

一方でアメリカはまだ出店数が限られており(2025年2月期時点で6店舗、北米全体で12店舗体制)、今まさに拡大フェーズにある。現状でも年間約29億7300万円を売り上げるなど高収益を確保しており、今後の成長余地は大きい。

「アメリカ市場はこれからが本格的な勝負どころです。2030年までに海外営業利益を25億円にするという目標は大きな意味があります。いまの営業利益が54億円なので、そのうち25億円を海外で稼げれば国内依存から脱却できるでしょう」(なごちょう氏)

国内市場は頭打ち? ココイチの次の一手

とはいえ課題もある。国内市場は少子高齢化の影響で需要が縮小しつつあり、競合との価格競争や、今後も続く可能性のある値上げに顧客がどこまで耐えられるかは不透明だ。

海外市場においても、現地消費者の嗜好や競合状況によって収益性が左右されるリスクがある。これについて、なごちょう氏は「国内だけに依存すれば成長は頭打ちになります。だからこそ海外に軸足を置く戦略が重要なのです」と語る。

さらに、海外展開を進めるには現地フランチャイズとの関係構築やサービス水準の維持が不可欠だ。直営とフランチャイズのバランスをどうとるかが、中長期的な成否を左右するだろう。

「品質を最優先にしつつ、拡大ペースを誤らないことが重要です。海外進出は慎重であるべきですが、確実に成長につなげていけるでしょう」(なごちょう氏)

ココイチは高級化戦略により一部で客離れを招きながらも、体験価値を高めることで過去最高益を達成した。海外展開による成長余地は大きく、安定した財務基盤やハウス食品との協業も強みといえる。

投資初心者にとっても、「値上げは必ずしもマイナスではない」、「海外戦略が成長を左右する」という学びにつながる事例だ。

外食産業は景気や消費者心理に左右されやすい分野だが、そのなかで安定した収益を確保できる企業は投資対象として注目に値する。ココイチはまさにその代表格といえるだろう。

  • “海外ココイチの逆輸入”をテーマに掲げた「CURRY HOUSE CoCoICHIBANYA WORLD」(通称:ココイチワールド)の2号店

    “海外ココイチの逆輸入”をテーマに掲げた「CURRY HOUSE CoCoICHIBANYA WORLD」(通称:ココイチワールド)の2号店


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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