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42億円赤字の「ヴィレッジヴァンガード」、地元・名古屋の億り人投資家が語る"失速の背景"とは

Updated SEP. 18, 2025 15:47
Text : 西脇章太
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1986年の創業以来、書籍や雑貨、Tシャツなどの独自セレクトによるサブカルチャー商品を扱い、全国約300店舗とオンラインショップを展開してきたヴィレッジヴァンガード(以下、ヴィレヴァン)。

しかし、店舗販売の不振により業績が悪化しており、2026年5月期以降、全店舗の約3割に相当する81店を閉店する方針だ。不採算店の整理を通じて収益改善を図る狙いで、全国の路面店やテナント店が対象となる。

一方、2026年5月期の見通しでは、売上高259億円(4%増)、最終利益8億4700万円の黒字転換を予想しており、オンライン事業の強化を基盤に販売拡大を目指すのだそう。

また、2016年ごろから株価も1000円台前半を中心とした範囲で推移しており、特に大きな変動はないが、これからどのように推移していくのだろうか。

そこで今回は、同社本社所在地の愛知県名古屋市在住のベテラン投資家・なごちょう(X:@Nagoya_Tyouki)氏にインタビュー。彼に創業当時の様子や株式指標の現状、参考にするべき企業事例、そして今後の展望について話を聞いた。

奇抜な商品が魅力だった創業当初

1990年代の同社は、「遊べる本屋」として各店舗の個性が強く発揮され、店長のセンスが顧客を引きつけていた。なごちょう氏は、1990年代の同社を振り返り、当時の独自性を次のように語る。

「店舗の特徴は、『誰が買うんだ』と思うような奇抜な商品を雑然と並べ、店舗によってまったく違う雰囲気を持っていたことです。客は最初は好奇心から『冷やかし』で入店し、興味を持った商品を偶然購入するというスタイルでした。店舗によって全然違うものを売っていたり、とんでもない商品ばかりを置いていたり。正直こんな店が成り立つのかというほど独特で魅力的でしたね」(なごちょう氏)

「ヴィレヴァンがある」というだけで人が集まり、変わった商品を見るために来店する人が多かったという。「私の周りでは、特に話のネタになる商品を買っていく人が結構いて、買い物そのものをおもしろがっている印象がありましたね」となごちょう氏。

この独創的な運営スタイルが初期の成功を支え、1991年には初のフランチャイズ店を開店するなど、着実に基盤を固めていった。

独自性喪失、業績低迷...上場後の大誤算

ヴィレヴァンは、2003年に東証ジャスダック(現・東証スタンダード)に上場。店舗数はピーク時に400店近くまで増加し、ショッピングセンターへの出店も拡大。

これにより事業規模は急激に広がったが、元来の独自性が失われ、雑貨店やECサイトとの競争が激しくなって業績を圧迫した。

「上場して店舗数を増やしていったことが最大の間違いだったなと。店長のセンスが光り人気がでていましたが、それは裏を返せば、センスに依存した状態と言えます。そのため多店舗展開をすると、『どの店舗に行っても混んでいない』『おもしろくない』という状況が生まれ、珍しいものが見れなくなったため集客力が急速に低下。店舗の画一化によって、客の興味を引くことができなくなったのです」(なごちょう氏)

2010年代になると、この構造的課題が顕在化して業績は徐々に下降線をたどった。2020年の新型コロナウイルス禍で客足がさらに減少し、経営は深刻な打撃を受けた。

また、財務的には不良在庫が大きな問題で、なごちょう氏は「貸借対照表を見ると、棚卸資産評価損(※1)約24億円、減損損失(※2)約6億円を計上していますね」と話す。

※1. 期末の棚卸資産の価値が取得原価を下回った場合に、その下落分を損失として計上する会計処理のこと
※2. 企業が保有する資産の帳簿価額を引き下げる会計処理に伴う損失のこと。

  • なごちょう氏は、2017年の下方修正時にも「通期黒字転換は厳しい」とTwitter(現・X)で懸念を示していた

    なごちょう氏は、2017年の下方修正時にも「通期黒字転換は厳しい」とTwitter(現・X)で懸念を示していた

「さわやか」から学ぶ、ヴィレヴァンの起死回生策

そんなヴィレヴァンの株価は低迷を続け、現在の時価総額は8億円程度にまで縮小。前述のとおり、2016年ごろから同社の株価は1000円台前半あたりを推移しているが、

「2016年に優待の利用条件変更を発表した際、20%以上の株価下落があったことからも、優待目当てで買っている人が多いのでしょう。いまは株主優待によって、株価が辛うじて維持されている印象です。この経営状況では、株価が上がる気配もないですね…」(なごちょう氏)

人件費の上昇やインフレの影響もあり、前期に続いて2期連続の最終赤字となった。「今期は黒字予想を出しているものの、過去2~3期は下方修正されていて、本当の黒字化はかなり難しいと思います」と見通すなごちょう氏は、今後の復活策についてこう提言する。

「規模を縮小して、少数の大型店舗にするしかないですね。例えば、未上場の企業で私も行くことがありますが、2025年9月時点で34店舗・静岡県内でのみ展開する、炭焼きレストラン『さわやか』は見習うべきよい例だと思います。混雑していて8時間待ちなんてこともザラにありますが、これは"静岡県にしかない"からくるんですよ。まさにヴィレヴァンの魅力だった"希少性"が人気の理由なのです」(なごちょう氏)

さらに、再生のためには「ブランドイメージを一気に全部変える」か「もともとの遊べる本屋というコンセプトに戻る」必要があり、そのためにエリアマネージャーや店長の人材育成がカギだと強調する。

  • 『さわやか』のように「規模を縮小して、少数の大型店舗にするしかない」となごちょう氏

    『さわやか』のように「規模を縮小して、少数の大型店舗にするしかない」となごちょう氏

ヴィレヴァンがかつての魅力を取り戻し、「遊べる本屋」として原点に立ち返る未来に期待したい。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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