スバルの新型「フォレスター」が受注好調だ。先行予約の受付開始から約1カ月間の受注台数は2代目「レガシィ」が記録した同社の過去最多記録に迫る勢い。ライバルのトヨタ自動車「RAV4」に先制パンチをお見舞いした格好だ。
ターボが加速中? フォレスターの販売状況
スバルは2025年6月初旬に開催した新型「フォレスター」の試乗会で現在の受注状況や納車時期などについて説明した。
同社によると、新型フォレスターの先行予約を開始したのは4月3日のこと。それから4月30日までの初月受注台数は1万台を超える1万1,466台に達したという。この数字、歴代フォレスターでは過去最多台数であり、スバルの他モデルと比べても2~3代目「レガシィ」に次ぐ実績(1997年3月の2代目レガシィが単月最多となる1万4,509台を記録)となったそうだ。
5月31日までの累計受注台数は約1万5,000台。当初の販売計画である2,400台/月に対して3倍以上という好調なスタートダッシュを見せている。
パワーユニットの構成比を見ると、4月はS:HEVが85%、1.8Lターボが15%、5月は同60:40で、累計では80:20という割合に。先行予約を開始した4月はS:HEVに受注が偏ったが、5月には1.8Lターボが4割に伸びた。これは、S:HEVが納車まで1年と長いのに対して、1.8Lターボが約3~4カ月という“納期の差”によるものと考えられる。スバルではS:HEVの納期を短縮するため、増産に向けて調整中とのことだ。
ボディカラー別の構成比では「クリスタルホワイト・パール」(有償色)が30%でトップ。ついで「リバーロック・パール」(有償、2トーン含む)23%、「マグネタイトグレー・メタリック」(2トーン含む)14%、「クリスタルブラック・シリカ」10%、「オータムグリーン・メタリック」9%、「カシミアゴールド・オパール」(有償)と「ブリリアントブロンズ・メタリック」が各5%という割合になっている。
ライバルのRAV4と比べてみた
新型フォレスターのライバルとしては、先ごろ実車をワールドプレミアしたトヨタ自動車の「RAV4」が真っ先に浮かんでくる。
ボディサイズはどちらも全長4.6m前後というミドルサイズのSUV。エクステリアはフォレスターが力強くわかりやすいアウトドア系のスタイルで仕上げたのに対し、RAV4は最新トヨタデザインの要素を盛り込んだスマート系の「コア」、ゴツゴツタイヤを装着した「アドベンチャー」、スポーツ系の「GRスポーツ」の3つのスタイルで登場した。
ただ、フォレスターでは、よりラギッドな「アドベンチャースタイル・パッケージ」やスポーティーな「STIエアロパッケージ」など、キャラクター別のスタイル(オプション品のパッケージ)が選べるので、幅広いユーザーの要求にしっかりと対応できそうだ。
パワートレインは、フォレスターが2.5L S:HEVとガソリン1.8L直噴ターボという組み合わせであるのに対して、RAV4は純エンジンモデルを廃し、第6世代の新型プラグインハイブリッド(PHEV)と改良型HEVという電動化路線に。
これまで、「クルマのできはいいんだけれども、燃費がね……」という結論に落ち着きがちだったスバル車が、その解決策としてトヨタ「THSⅡ」を流用したストロングハイブリッドシステムを導入することで、唯一とも言えるネガポイントを克服した形だ。
とはいえ、フォレスターS:HEVの燃費18.8km/L(WLTCモード)と推定航続距離1,185km(63Lタンク)は、RAV4 PHEVのEV走行可能距離150km、航続距離1,350kmに敵わない(システムが違うので仕方がないのだが)ところではあるのだが……。
また、RAV4には、絶えずクルマを最新の状態に保つことができるソフトウェアづくりのプラットフォーム「Arene」(アリーン)を初導入したという“飛び道具”がある。これによって、安全性能だけでなく、音声認識などエンタメ部分でのブラッシュアップを絶えず行うことが可能になる。
新型「アイサイト」を使用したフォレスターの半自動運転は現状でもとても優秀なのだが、今後はSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)に対応できるようなシステムの導入が必要とされるのだろう。事実、フォレスターの開発者も「RAV4があんなにすごいシステムで出てくるとは思わなかった」と言っていたから、そこは間違いない。
あとは価格面。約400万円~460万円のフォレスターに対してRAV4はどんな値付けになるのか。興味は尽きないところだ。