イタリアの高級家具ブランド「Poltrona Frau(ポルトローナ・フラウ)」が、陶芸家で建築家としても活躍する奈良祐希氏とコラボレーション。奈良氏の代表作である『Bone Flower』の専用展示台を、作品とセットにして販売する。
今回は日本で5台しか販売されないという専用展示台と作品を一足早く見学。奈良氏本人にも展示台のこだわりをインタビューした。
今回限定の特別な作品『Bone Flower_1/f』
ポルトローナ・フラウの国内正規販売店である、株式会社ヤマダデンキ大塚家具事業部の担当者によると、ポルトローナ・フラウは創業110年以上の歴史を持ち、イタリアで古くから親しまれているブランド。独特の柔らかさが魅力の「Pelle Frau(R)(ペレ・フラウ)」というレザーを使った、芸術品のような家具を販売している。職人の手によって作られる上質な革の質感は根強いファンも多い。家具だけでなく、フェラーリや航空機のファーストクラスのシート、高級ホテルの内装など世界のラグジュアリーシーンを彩っている。
そんなポルトローナ・フラウが、日本人アーティストと初コラボレーション。奈良氏は、陶芸代表作の『Bone Flower』が金沢21世紀美術館や大林コレクションに収蔵され、国内外では10以上の建築プロジェクトを進行するなど、陶芸家と建築家の両方の側面を持つアーティストだ。今回のプロジェクト構想には、ブランド本国のイタリアチームとも連携して2年の歳月をかけているとのことだ。
コラボレーションを記念して、この度は特別バージョンの『Bone Flower_1/f』が販売される。焼成時の温度を通常より約70℃高めることで、自然界に存在する予測できない変化や動きといった「ゆらぎ」を感じられる作品になっている。
テーマは「転生」、きっかけは革加工のYouTubeから
作品を乗せる専用展示台は、柔らかな乳白色をした牛の革、ペレ・フラウを張っている。コラボレーションに際して奈良氏は、牛の革が加工される様子をYouTubeで見たことでインスピレーションを得たと話した。
「加工の様子は衝撃的だったのですが、その牛にもう一度思いを馳せられるようなものを作りたいと思って、革の表情に着目しました」
「生きている間、革は牛の動きに合わせてシワを生み出すのですが、そのシワはなめす段階でわからなくなってしまいます。ですが革を引っ張ったり強い圧をかけたりすると、そのシワがまた出てくるのです。これを展示台のデザインでもれなく再現しようと思って、異なるテンションがかかるようフリーハンドで描いた楕円形の台に革を張って、ところどころシワを観察できるようなデザインにしました」
「一度役割を終えてしまった牛たちをこの展示台に“転生”させる。『Bone Flower_1/f』も、自然の素材である土を変質させているので、状態が転生するというお互いの意味合いを深いところで感じられたら」
すでにパリでの展示会にて、たくさんの人から好評だったという今回の作品。2月14日~3月2日まで(大阪は3月1日~3月16日まで)、ポルトローナ・フラウ東京青山にて特別展示「Born Again」を開催し、実物5台を展示する。大阪でのイベント終了後は、ワンセット110万円で抽選販売を実施。店舗での申し込みに加えて公式ウェブサイト(2月14日~2月28日)でも受け付ける。
アート好きにはたまらない今回のコラボレーション。一度会場に赴いて、実物の持つ柔らかな表情を楽しんでほしい。
「Born Again」イベント概要
ポルトローナ・フラウ東京青山
- 期間:2月14日~3月2日
- 営業時間:11時~19時
- 定休日:水曜日(祝日の場合営業)
ポルトローナ・フラウ大阪
- 期間:3月1日~3月16日
- 営業時間:11時~19時
- 定休日:水曜日、土曜日(祝日の場合営業)