物価高や円安の影響で値上がりを続ける自動車市場。特に輸入車の新車価格はここ数年でグッと上がっている。そんな今だからこそ、中古車市場に目を向けてみたい。意外と手の届く車種があったり、なかなかお目にかかれないレアモデルに出会える可能性もあるはずだ。
そこで今回は自動車評論家の伊達軍曹氏にインタビュー。2024年、ヤフーオークションで売買された人気輸入車ブランドの動向をもとに、近年の自動車トレンドについて話を聞いた。
今回はドイツが誇る高級車「BMW」にフォーカス!
2024年1月~11月までに最も高値で取引されたBMWTop3はこちら
今回はオークファンプロPlusにて調査したデータを参照した。2024年1月~11月の期間、ヤフーオークション上で取引されたメルセデス・ベンツの商品を価格順にランキング化している。なお、文中の商品名は基本的に出品時の表記に沿っている。
1月から11月までに取引されたBMWの中で、年間トップ3位を記録した商品は「2024年式 M3ツーリング コンペティションM Xドライブ カーボンインテリア 4WD」「M2クーペ 3.0 MトラックPKG OP550 アクラボ H&R 1オーナー」「1987年 初度登録 M6アイディング 5MT 書類有り 2ドア クーペ E24 左ハンドル 356E」だった。
2024年の中古BMWはSUVの一人勝ちか?
高級車メーカーとして世界的に名高いBMW。メルセデス・ベンツ、アウディとともに、ドイツの「プレミアムブランド御三家」に数えられる名門中の名門である。しかし、中古車市場に目を向けてみると、意外に手の届く価格帯の車種も少なくないことに気づく。
「やはりBMWの中古車といっても、ものすごく値落ちしている車種もあれば、価格の下がりにくい車種もあります。前者の場合はいつの時代も結構安いのですが、後者の場合はある程度資産を蓄えている層に刺さりやすく、堅調に売れ続けているようですね」(伊達軍曹)
トレンドはもう長らくSUV一強。これは世界的に同じことがいえる。だからこそ人気の面で劣るセダンなどの車種は、SUVのような高い二次流通価格を保ちにくい。実際の中古車市場を覗いてみても、やはりその傾向は顕著に見て取れる。
「とは言え、BMWのような輸入車のセダンは、国産車のセダンより人気があります。国産車のセダンの人気は本当に壊滅的な状況で、 新しいモデルの新車でも、買った瞬間にかなり安くなってしまうはず。しかし、輸入車のセダンはまだそれなりに人気があり、国産のセダンほど壊滅的ではありません」(伊達軍曹)
洗練されたデザインとブランドイメージ。やはり国産車にはない魅力が、輸入車にはあるようだ。
では具体的に、リセールの高い人気車種にはどんなモデルがあるのか。伊達軍曹氏はSUVシリーズにあたる「X3」だと即答する。
「X3は、本国(ドイツ)ではコンパクトカー扱いですが、日本では割と大きめなサイズに相当します。日本の道路でもちょうど使い勝手がよく、人気も非常に高い。なので価格もあまり下がりません。もちろん、何世代も前のX3だと厳しいですが、最近登場した新型は性能もよく、順調に売れているので価格も下がりくいと思います」
1,480万円で落札! BMW「M3ツーリング コンペティションM Xドライブ」ってどんな車?
今年のヤフーオークションの個人取引の中で、BMWとして最高額がついたのが「M3ツーリング コンペティションM Xドライブ カーボンインテリア」だ。落札額は1,480万円。一体、どんな車種なのか。
「この『M3』というのは、普通の『3シリーズ』をかなりハイパフォーマンスに仕上げたモデルで、基本的にセダンタイプが多いんです。高性能であるが故に高額なのですが、今回最高額で落札された『M3ツーリング コンペティションM Xドライブ』はステーションワゴンタイプ。これはかなり生産台数が少なく、二次流通市場にもほとんど出回りません。非常に希少価値が高く、欲しい人はやはり欲しいのでしょう」
“性能のよさ”については、「そのままサーキットを走れるようなレベル」だと伊達軍曹氏は言う。
「すごいエンジンのパワーで、足回りもしっかりしている。どえらいスピードでコーナーを曲がろうとしても曲がれるし、当然ブレーキの利きもすごいし、冷却性能にも優れています。日本の公道ではそんな性能は出しきれませんが、やっぱり車好きのアッパー層には刺さる。わかる人にはわかる良さがある。そこに価値を見出す人は少なくないでしょう。まあ、自己満足なんですけどね(笑)」
オーバースペックでも、自己満足でもいい。憧れの車にロマンを感じ、実際にこの手で掴む。その一連の流れそのものに価値があるのだ。