トヨタ自動車「RAV4」の「GR SPORT」は、同モデルのラインアップで最も高価かつ最も高性能なクルマだが、日々の生活で乗るにはどうなのか。ライバルとなりそうな「アウトランダーPHEV」と比べると? 試乗してきた。

  • トヨタ「RAV4 PHEV GR SPORT」

    「RAV4」の「GR SPORT」に試乗してきた

リアスポイラーが目立つ見た目は精悍

トヨタを代表するSUVのひとつであるRAV4は、2025年12月にフルモデルチェンジして6代目となった。すべてがハイブリッド車(HV)になり、ガソリンエンジンの選択肢はない。前輪側にハイブリッドシステムがあり、前後で計2基のモーターを備える4輪駆動車(E-Four)だ。そして2026年3月には、プラグインハイブリッド車(PHEV)が追加になった。

PHEVはHVに比べ容量の大きいバッテリーを車載することで、一定の距離を電気自動車(EV)と同じようにモーター駆動で走れる。充電した電気を使い切ったら、HVとしてエンジンを併用して走り続けられる。移動途中に充電する必要はない。

RAV4のPHEVには「Z」(600万円)と「GR SPORT」(630万円)の2つのグレードがある。今回試乗したGRスポーツは上級車種で、より壮快な走りを楽しめるモデルだ。

  • トヨタ「RAV4 PHEV GR SPORT」

    「RAV4 PHEV GR SPORT」のボディサイズは全長4,645mm、全幅1,880mm、全高1,685mm、ホイールベースは2,690mm。フル充電時に電気だけで走れる距離(EV走行換算距離)は145km

試乗車は赤(エモーショナルレッドⅡ)と黒の2トーンカラー。屋根の後端にスポイラーを装着した姿は精悍さが際立つ。GRのバッジがフロントグリルとテールゲートに貼られているのが同グレードの特徴。ドアを開ければ、GRのロゴが入ったプレートがサイドシルに飾られている。

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    ボディカラーは全部で5種類。モノトーンは「アティチュードブラックマイカ」「アーバンロック」「プラチナホワイトパールマイカ(+3.3万円)」、2トーンは「ブラック×プラチナホワイトパールマイカ(+7.7万円)」「ブラック×エモーショナルレッドⅡ(+9.9万円)」

室内色は黒のみ。GRの文字が入った専用の座席は体を的確に支える。

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    GRロゴ付き専用スポーティシート

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    ハンドルにもGRの文字が入る

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    ペダルは専用のアルミ製で、銀色に光る

乗ると感じる「上質さ」

運転席に座ってイグニッションスイッチを入れると、メーターに表示される充電計は100%を示していた。エンジンは始動せず、静けさは保たれたままだ。座席とハンドル位置を調整し、シフトを「D」に入れて走り出す。シフト操作は新しいスイッチ方式で、レバーを前後へ動かすだけだ。駐車の際は、それと別に「P」の押しボタン式スイッチがある。

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    スイッチ式のシフトセレクター(右上)

  • トヨタ「RAV4 PHEV GR SPORT」

    出発時のメーターは充電100%、ガソリン満タンの状態。バッテリーの電力とガソリンを合わせた走行可能距離(左下の数字)は1,187kmとなっている

走り始めた印象は、上質な乗用車という感触だった。

RAV4の誕生を振り返れば、身近なSUVでありながら悪路の走破力もしっかり備えた楽しいクルマで、そうした基本性能は前型で改めて強調されていた。新型にもトレイルモードとスノーモードの設定があり、悪路や雪道で的確かつ安全な走りをもたらす機能を備えるが、街中を走る感触は上級車の趣だ。

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世代を重ねるごとにRAV4は質のよさを高めている。前型も普段の用途では十分な快適性を備えていたが、そのうえで新型は、いっそう上質さを高めた印象がある。

それは単に、モーター走行による静けさだけではなく、車体がさらに剛性を高め、それが質の高い走行感覚をもたらしている快さが伝わってくるのである。

さらに驚くのは、試乗した車種が壮快な走りをめざしたGRスポーツであるにもかかわらず、ゴツゴツした粗い乗り心地を伝えず、まさしく上級乗用車の味わいなのである。

それでも意識してみれば、乗り心地は確かに少し硬めで、しっかりした感触だった。けれども、それは例えば欧州の上級車種の感触に似ている。

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市街地から高速道路へ入り、そして郊外の一般道も走った。

高速道路に合流する際の加速は、モーター駆動であるため、わずかなアクセルペダルの踏み増して十分だ。ここが、EVを含むモーター駆動のよさである。

その後の速度調整も、回生を活用することで滑らかに行うことができた。同乗していても体を前後にゆすられることは稀だろう。速度が上がると、ややタイヤ騒音が耳に届くが、GRスポーツというだけあって、走行性能を主体とした高性能タイヤを装着するので、やむを得ない。それでも鬱陶しい騒音ではない。

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運転支援機能での車線維持においても、また自分でハンドル操作をしても、進路変更は的確で、遅れのない応答のよさは、手の内にある満足をもたらす。旋回中の車体の傾斜も強すぎず、クルマと一体感のある自然な姿勢だ。

モーター走行からハイブリッド走行に切り替わっても、急加速をしなければエンジン音はほとんど気づかない水準に抑えられている。アクセルペダルをグッと踏み込み、鋭い加速をさせればエンジンの音が耳に届くが、それも不快な雑音やエンジン振動を実感することはなく、違和感がない。

ドライブモードをスポーツにすると猛然たる勢いを感じさせるが、ノーマルでは、必要な加速をもたらしながら無駄に電気は使わない制御である様子がわかる。

壮快な走りはするものの、GRというバッジに込められた強烈さは、日々それほど実感しないかもしれない。それでも、高い能力を秘めたクルマを日々快適に使い切るという点で、RAV4 PHEV GRスポーツは意味ある選択肢といえそうだ。

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アウトランダーPHEVと比べると?

国産車でPHEVのSUVといえば、この分野の先駆者ともいえる三菱自動車工業「アウトランダーPHEV」がある。

  • 三菱自動車「アウトランダーPHEV」

    三菱自動車「アウトランダーPHEV」のボディサイズ(Pグレード、5人乗りの数値)は全長4,720mm、全幅1,860mm、全高1,750mm、ホイールベースは2,705mm。フル充電時に電気だけで走れる距離(EV走行換算距離)は102km

こちらは2021年にモデルチェンジしており、現行型は3代目だ。2024年の大幅改良ではリチウムイオンバッテリーを変更し、走行性能をより高めた。三菱自動車が得意とする電子制御4輪駆動の威力を実感することができるクルマで、大柄な車体でありながら走りは俊敏だ。3列シート7人乗りが選べるのもアウトランダーPHEVの特徴。価格帯は529.43万円~682.66万円となっている。

アウトランダーPHEVとRAV4 PHEV GRスポーツとの違いをあえて探すなら、車格感かもしれない。

アウトランダーは車体全長が4.7m超えの4,720mmで、車両重量は2トンを上回る。RAV4は4,600mmで、GRスポーツは4,645mmとやや長いが、アウトランダーよりは短い。車両重量は2トンを切る軽さだ。

数字的にはわずかな差と思えるが、アウトランダーPHEVが重厚さ、落ちつきを感じさせるのに対し、RAV4は質の高い走りを堪能させながら、より身近さを感じさせる。

良し悪しや上下ではなく、それぞれのわずかな違いが存在意義を明らかにし、消費者の好みに見合った選択肢をもたらすPHEVに仕上がっていると思う。

【フォトギャラリー】RAV4 GRスポーツ