物価高や円安の影響で値上がりを続ける自動車市場。特に輸入車の新車価格はここ数年でグッと上がっている。そんな今だからこそ、中古車市場に目を向けてみたい。意外と手の届く車種があったり、なかなかお目にかかれないレアモデルに出会える可能性もあるはず。
そこで今回は自動車評論家の伊達軍曹さんにインタビュー。2024年、ヤフーオークションで売買された人気輸入車ブランドの動向をもとに、近年の自動車トレンドについて話を聞いた。
まずは高級車の代名詞でもある「メルセデス・ベンツ編」からお届けしよう。
2024年1月~11月までに最も高値で取引されたメルセデス・ベンツTop3はこちら
今回はオークファンプロPlusにて調査したデータを参照した。2024年1月~11月の期間、ヤフーオークション上で取引されたメルセデス・ベンツの商品を価格順にランキング化した。なお、文中の商品名はは基本的に出品時の表記に沿っている。
1月から11月までに取引されたメルセデス・ベンツの中で、年間トップ3位を記録した商品は「SLRクラス マクラーレン 5.4 ブラバスコンプリート/660PS 」「メルセデスw198, 300SLSロードスターモデル」「S680 4マチック ファーストクラス パッケージ 4WD マヌファクトゥーアレザー」だった。
中古市場でも人気なメルセデス・ベンツの「Gクラス」
一時は半導体不足の影響で新車販売が追いつかず、中古車市場がかなり高騰。しかし、ここ最近はそれもかなり緩和されたようだ。
伊達軍曹さんによると、中古車市場には安いモデルから高いモデルまで様々な車が並んでおり、一概に「こんな傾向がある」とは断定できないらしい。それはメルセデス・ベンツに限らず、どのブランドについても言えることだという。
「例えばベンツのCクラス。4世代も前のモデルであれば数十万という価格で売られていますが、機能的に優れたAMGラインの最新モデルなどであれば1,000万円近い価格が維持されています。ただ、ベンツの場合、『富裕層に刺さりやすい、マニアックではない車種』の人気は高まっているので、中古車相場は堅調か、若干いい傾向にあるとも言えます」
やはりメルセデス・ベンツの中でも特に人気が高いのが、芸能人も御用達の「Gクラス」。伊達軍曹さんの言う「富裕層に刺さりやすい、マニアックではない車種」の代表格である。
実際、2024年のヤフーオークションでもGクラスはかなり人気が集中しており、例えば1月には「G350d AMG」のカスタムモデルが1,895万円で、5月には「G400d AMG」が1,654万5,455円で落札されている。
8,909万910円で落札! ベンツ「SLR マクラーレン」の価値
そんな中、2024年最も高値がついたメルセデス・ベンツが「SLRクラス マクラーレン 5.4 ブラバスコンプリート/660PS」だ。お値段はなんと8,909万910円という超高価格である。
「端的に言ってしまえば、超お金持ち向けの超パフォーマンスカーの中でも、さらにスペシャルバージョンの車です。マイバッハがコンフォート系の超スペシャルモデルだとしたら、SLR マクラーレンはスポーツ系の超スペシャルモデル。もちろんすべて手作りで、普通のお店では買えません。専用のルートやコネクションがあるお持ちしか買えなかった車ですね。
あまりにも希少なので正確にはわかりませんが、おそらく日本に入ってきたのはわずか数台。そういう事情もあって、やはり欲しい人は欲しい車なんです。これについては高くて当たり前といった感じではないでしょうか」(伊達軍曹さん)
一説によると新車時は約9,000万円で販売されていたようだが、それが事実なら中古車になった今も値段はほぼ下がっていないことになる。資産性という意味でも素晴らしい価値を持つ1台である。
「ただ、これはもう普通のベンツとは全くの別物なので、これでベンツ・ブランドを語ることは難しいと思います。むしろ、ヤフオクで売れた車種を見ていると、『やっぱりGクラスは人気なんだな』と改めて思いますね。
例えば普通のセダンを2,000万円で買ったとして、売るときに走行距離が1万kmくらいなら、800万円くらいまで値が下がることも考えられます。でもGクラスだったら、2,000万円で買っても1,600万円で売れる、ということもありえます」(伊達軍曹さん)
2024年に最高価格で取引された「SLRクラス マクラーレン」は当然、憧れのスーパーカーである。と同時に、メルセデス・ベンツ「Gクラス」は人気も資産価値も安定して高く、依然としてトレンドが下火になることはなさそうだ。