この連載では、20年以上富裕層の相続をサポート・コンサルティングしてきた税理士法人レガシィの新刊『100億円相続事典 1億円との徹底比較で見えてくる違い』(1,800円/レガシィマネジメントグループ 著/日経BP 刊)から、一部を抜粋して掲載。
資産100億円の"超"富裕層と資産1億円の富裕層の相続のあり方を比較し、50音順に沿ってエピソードを紹介していくことで、それぞれの考え方や生き方を浮き彫りにしていきます。
第2回のテーマは「お稲荷さん」。
【あ行】お稲荷さん
1億円富裕層: お参りに行って拝むもの
100億円富裕層: 庭内にあることも珍しくない
100億円富裕層は油揚げが好きだったり、稲荷ずしが大好物だったりする傾向があるとか、神の御遣いである狐好きが多いとか、そういう話ではありません。
先祖から受け継いだ広いお屋敷にある庭内に、お稲荷さんが祀られているケースがあるという話です。1億円富裕層は自宅敷地も限られているので、あまりこのようなお稲荷さんはないことが多いですが、100億円富裕層の場合、お稲荷さんは先祖代々の守り神として家族から敬われ、中には五穀豊穣、豊作を願って、周辺地域の人々が日常礼拝できる仕様となっているところもあります。
小さな社である祠にご神体を祀ったお稲荷さんは「庭内(ていない)神(しん)し」の一つで、不動尊や地蔵尊、道祖神、庚申塚などのご神体も庭内神しです。庭内神しは相続税法上、非課税財産として取り扱われます。つまり、相続の際には資産として「ゼロ評価」になります。従来、非課税財産の対象となるのは、この庭内神しのみでしたが、2012年に国税庁は、庭内神し本体と敷地等に関する税法上の取り扱いについて、密接不可分の関係にあれば敷地等も一体のモノとして非課税財産とする取り扱いを公表。付随する鳥居やご神木のある敷地もこれに従った評価となります。
ただし相続が迫ってからお稲荷さんを祀ってその土地を非課税にはできません。
『100億円相続事典 1億円との徹底比較で見えてくる違い』(1,800円/レガシィマネジメントグループ 著/日経BP 刊)
本書籍は、20年以上富裕層の相続をサポート・コンサルティングしてきた相続のエキスパート達(プレミアム税理士)が、資産100億円の"超"富裕層と資産1億円の富裕層の相続のあり方を比較することで、それぞれの考え方や生き方を浮き彫りにすることを試みています。相続・事業承継専門として邁進してきた弊社の知恵を結集した事典形式の書籍となっています。なぜ100億円規模の資産を築くことができたのか。なぜ長年にわたって維持できているのか。知られざる100億円富裕層の一面を垣間見ることができる様々なエピソードを、50音順に沿ってお楽しみいただければと思います。ただの読み物としてではなく、皆様の知恵の一助としてお役立てください