京都大学は、「米ぬか」のタンパク質を酵素で分解して得られたペプチド混合物の血圧降下作用を明らかにし、新しい血圧降下ペプチドを発見したと発表した。

研究のイメージ図(出所:京都大学プレスリリース)

同研究は、京都大学大学院農学研究科の大日向耕作准教授の研究グループと、サンスターの共同研究によるもの。5月19日~21に行われる第71回日本栄養・食糧学会大会にて発表される予定で、同学会大会の一般講演約700件の中から25件程度選ばれる注目の研究成果「トピックス演題」に選定された。

古来より、日本人は玄米を常食してきたが、現代に多くの人が食べているのは、玄米の胚芽と表皮にあたる米ぬかを取り除いた精米となっている。米ぬかには、タンパク質やミネラルなど多種の栄養素を豊富に含んでいるが、食品素材として十分に活用されていないのが現状となっているという。一方で、高血圧症患者は日本に4300万人、予備軍も含めると総人口の約半分とも推定されており、その予防に効果的な食品素材の開発が期待されている。そこで、同研究チームは、玄米の胚芽と表皮にあたる「米ぬか」のタンパク質を酵素で分解して得られたペプチド混合物(ライスピールペプチド)の血圧降下作用を調べ、さらにライスピールペプチドに含まれる複数種のペプチドの中から血圧降下作用のあるペプチドの探索を試みたということだ。

同研究チームが高血圧モデル動物として知られる高血圧自然発症ラット(SHR)にライスピールペプチドを継続的に経口投与させたところ、血圧上昇が抑制されることが明らかとなった。さらに、ライスピールペプチ ドに含まれる複数種類のペプチドの機能性を分析し、その中から新しい3残基ペプチドが血圧降下作用を示すことを発見。この新規ペプチドは、低用量の経口投与で持続的な血圧降下作用を示すことが判明した。この研究成果により、米ぬかの利用価値が上昇し、新しい食品開発への応用が期待されるということだ。