東芝のクラウドブック「dynabook AZ」にみられるように、少し前までネットブック製品に注目していたPCメーカーらはタブレット製品のほか、ARMプロセッサを搭載した「スマートブック」と呼ばれるジャンルの製品に熱い視線を寄せるようになっている。一方でMicrosoftやIntelらはWindows 7やAtomプロセッサを搭載した製品のリリースに向け、PCベンダー各社らとパートナー関係を締結するなど、その存在感をアピールしようとしている。では、こうしたPCベンダーらの本音はどこにあるのだろうか?
台湾Digitimesは8月2日(現地時間)、複数の関係者らの話をまとめた「PC vendors unenthusiastic about Intel Atom tablets」という記事を掲載している。それによれば、間もなくIntelが低消費電力Atomの次世代プラットフォーム「Oak Trail」をリリースする一方で、ノートPCを開発するPCベンダー各社らはWindows+Atomという組み合わせよりも、Android+ARMの組み合わせに興味を抱いているという。これまでの関係もあり、Windows+Atomという製品ラインは維持していくものの、比重としては後者のほうを増やしていくというのがその戦略のようだ。その理由としては、価格、消費電力、発熱の比較でAtomはARMの領域を攻めるだけの状態になっていないことが挙げられるという。
また9月に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されるIntel Developer Forum (IDF)において、Intelは台湾のPCベンダー各社にサンプル機の展示が行えるよう交渉を進めており、これにベンダー各社も同意しているという。だが製品としてのサンプルは提示するものの、実際に大量生産に入るかはユーザー動向など需要を見て判断していくことになるという。
ここで1つわかるのは、製品に大幅な改良が加えられたとはいえ、スマートフォン分野で先行し、組み込み市場での実績も大きいARMと同じ土俵でAtomが本格的に戦えるようになるのは、まだもう少し先の可能性があることだ。一方で興味深い話題として、IntelはAtomプロセッサをWindowsマシンとしてだけではなく、MeeGoなどの新しいOSプラットフォームや、Google TVといった新領域で活用することを模索しており、安価なWindowsマシンというよりはむしろ、高いパフォーマンスを活かした新分野開拓に力を入れている。いずれにせよ、今年後半にはPCベンダー各社のタブレットやスマートブック製品が出揃うことになり、こうしたトレンドの行く末が近い将来にもはっきりするだろう。