DAISYコンソーシアム、日本障害者リハビリテーション協会、マイクロソフトは、Word文書を「DAISY」(デイジー)形式に変換できるWordのアドインソフト「DAISY Translator日本語版」の無償提供を開始した。日本障害者リハビリテーション協会のサイトからダウンロードできる。対応は、Word 2007、Word 2003 、Word XP。

DAISYは、米国標準規格ANSI/NISO Z39.86-2005として無償公開されている、XMLベースの電子書籍フォーマット。ナビゲーション、検索、ブックマークなどの機能ほか、テキストの音声での読み上げ、読み上げている部分のハイライト表示、文字の拡大、色の反転などができ、障碍者(しょうがいしゃ)向けの電子フォーマットとして採用されている。特に、印刷物を読めない全盲の人、大きな文字や適した色で読みたい弱視の人、視力はあっても、視覚からの情報を理解することが難しい読字障碍の人、本を持って読むことが難しい人などに利用されているという。

これまでもDAISYフォーマットの文書作成用ツールは提供されていたが、作成されたソースを修正して利用しなければならず、HTMLの知識が必要だったという。今回、Wordのアドインソフトが提供されたことで、多くの人が容易にDAISY文書に変換することが可能になる。

アドインソフトは「アクセシビリティ」というメニューで操作する。文書はスタイルを使って設定する

DAISY変換した文書の再生。黄色の部分が現在読み上げられている箇所

DAISYコンソーシアム会長 河村宏氏

DAISYコンソーシアム会長の河村宏氏は、「学校の各クラスには発達障害の生徒が2~3人はいる。DAISY Translatorによって技術的な壁がなくなるので、先生にとっては大きな朗報だ。読むための機械は必要だが、すぐに読めるものが手に入るので、すべての教室に導入していきたい」と語った。

なお、DAISYの最新はDAISY3だが、現在アクセシビリティの拡充、動画への対応、各国語対応のためのDAISY4を策定中だという。河村氏は、DAISY4においては、日本電子出版協会(JEPA)がInternational Digital Publishing Forum(IDPF)と策定中の次世代の電子書籍ファイルフォーマット「EPUB3」を包含する形で作成し、仕様の共通化を図っていく方針であることを明らかにした。

マイクロソフト 最高技術責任者 加治佐俊一氏は「連携することによって、不可能だったことが可能になっていくのはうれしい。現在、電子書籍に関するいろいろな動きがあるが、必要とされる人々に電子書籍が届けられるように今後も活動していきたい」と述べた。

マイクロソフト 最高技術責任者 加治佐俊一氏