帝国データバンクは3月3日、2010年度の雇用に関する企業の意識に関する調査結果を発表した。同発表によると、2010年度の正社員の採用を増加すると回答した企業は14.3%で、半数近くが「採用予定なし」と回答したという。

同調査の期間は2月17日から28日、調査対象は全国2万1,750社で、有効回答企業数は1万624社だった。

2010年度の正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「増加する(見込み含)」と回答した企業は1万624社中1,519 社と全体の1割強にとどまった。ただ、2月に調査した2009年度見込みと比べると3.1ポイント増加した。

業界別では、「農・林・水産」(構成比25.6%、10社)や「小売」(同16.7%、73社)、「建設」(同15.9%、242社)や、外需を中心に景況感がが復調している「製造」(同15.5%、464社)が全体を上回り、正社員の採用意欲が高い。

一方、「採用予定なし」は5,050社と5割に迫っており、厳しい経営環境のなか、企業の採用意欲は深刻な状況が続いている。サブプライム問題が拡大していた2008年度は30.4%だったのに対し、世界同時不況の影響を受けた2009年度は45.9%へ悪化し、2010年度は前年度をさらに1.6ポイント上回る結果となった。

業界別では、「不動産」(同62.0%、170社)や「卸売」(同55.7%、1,862社)などが5 割を超えた。特に不動産は10業界中4年連続で「採用予定なし」の割合が最も高く、正社員採用の厳しさが際立っていたという。

2010年度の正社員(新卒・中途入社)の採用状況 資料:帝国データバンク

また、2010年度の非正社員(派遣社員、パート・アルバイトなど)の採用状況は、「増加する(見込み含む)」と回答した企業が1万624社中657社、構成比6.2%となった。一方、「採用予定はない」は同57.0%(6,056社)と2年連続で6割近くに上り、非正社員の採用状況は依然として厳しい結果になった。

2010年度の正社員比率を問う質問では、2009年度と比べて「低下する(見込み含む)」と回答した企業は1万624社中1,358社、構成比12.8%で、「上昇する(見込み含む)」(同11.7%、1,244社)をわずかに上回った。

「低下する」と回答した割合を業界別に見ると、「小売」(同16.5%、72 社)や「運輸・倉庫」(同 14.8%、58社)が高かった。「上昇する」を規模別で見ると、「大企業」(同13.0%、332社)が「中小企業」(同11.3%、912社)よりも高く、業界別では「農・林・水産」(同17.9%、7社)や「製造」(同14.0%、420社)が高かった。

同調査では、自社の属する地域・業界の雇用環境が改善する時期についても聞いている。「2011年度」と回答した企業は1万624社中2,420社、構成比22.8%で最多となった。次いで、「長期的に改善する見込みはない」(同22.6%、2,401社)、「2012年度」(同18.8%、1,999社)、「2013年度以降」(同9.3%、983社)が続いた。

雇用環境の改善時期(規模・業界別) 資料:帝国データバンク