NECは、東京三田の本社1階にNECのクラウドビジネス提供イメージを実環境にて紹介する「クラウドプラザ」を開設し、プレス向けに公開した。

ここでは、NEC経営システム改革事例紹介・デモ、および実際にNECが提供するSaaS型サービス紹介・デモが行われる。

東京三田の本社1階に開設された「クラウドプラザ」

同社は今年の4月、クラウド事業強化を表明。要員1万人を再配置したほか、自社の基幹システムも全面的に刷新し、2011年までにグループの国内外の主要関係会社もカバーする、販売、経理、資材の基幹システムをクラウドベースに変更し、対象領域の間接部門費用を2012年度までに2割以上削減することを目標としている

クラウドサービスにおけるNECの注力領域

自社の基幹システムの全面的に刷新では、業務プロセス改革(経理・販売・購買の業務プロセスの標準化・シンプル化)も行っており、これらの成果であるノウハウ情報やデジタルデータも今後はユーザーにサービスとして提供していくという。

NEC 取締役 執行役員常務 藤吉幸博氏

取締役 執行役員常務 藤吉幸博氏が「実際に見るのと、聞くのでは大きく違う」と語る通り、ここではNECが提供するクラウドサービスを実際に体験してもらい、サービスのメリットをより強くアピールしたい狙いがある。

実際のサービス受注は7月より開始しているが、立ち上がり状況については藤吉氏は「見込み客レベルで数百社あり、順調だ」と述べた。また同氏は「サービス自身を活かしていくには、単体では難しい。既存環境からの移行や複数のサービスを連携させることにより付加価値を創造していくことが必要だ」と述べ、企業にクラウドサービスを浸透させるには、周辺サービスによるサポートやサービスどうしの連携が重要であるとした。

NECでは、クラウドサービスの提供を、中小企業を主なターゲットとするSaaS型、中-大企業向けの共同センタ型、大規模ユーザー向けの個別対応型の3つの形態で提供する。

SaaS型は、アプリケーションをサービスとして提供するという、クラウドサービスとしてはもっともポピュラーなもの。

共同センタ型は、複数の企業が同一のプラットフォーム上で共通のアプリケーションを利用するというもの。

そして、個別対応型は現在各企業が自社のサーバで運用しているアプリケーションを、NECのクラウド上でSOAベースで再構築し、運用するというものだ。

3つのサービス提供モデル

「クラウドプラザ」では、RFIDを活用した生産管理/工程管理や人事・給与/勤怠管理の基幹システム(ERP)デモ、デジタルサイネージのQRコードを利用してECサイトに誘導するシステム、地域の医療機関で診療情報を共有するシステムのデモを体験できる。

Kiosk端末でRFID内蔵の会員カードを読み取り、おすすめ情報をデジタルサイネージのディスプレイに表示。そこに表示されたQRコードによってECサイトに誘導するというデモ用装置(左がKiosk端末、右がデジタルサイネージのディスプレイ)

RFID内蔵の社員証を出退勤の際リーダーにかざすことにより、勤怠管理行うためのデモ装置

同社では、これらの施策を通して、2012年度にはサービス事業全体の売上げを5000億円程度にしたい考えだ。