ソニーグループのブースは、新技術の体験コーナーが中心。まずは、同社が、開発研究を行う「色素増感太陽電池」のコーナー。色素増感太陽電池とは、光を当てた色素が放出する電子を利用する太陽電池。色素なので、印刷技術と組み合わせることで、さまざまなデザインや色を利用可能だ。同ブースでは、花の絵がかかれたパネル一体型の太陽電池で、小型のファンや照明を動かすデモが行われるとともに、植物から取り出した色素から、太陽電池を作りオルゴールを鳴らすというワークショップも行われている。

試作品の色素増感太陽電池を利用した照明。中に小型のランプが設置されている

こちらは色素増感太陽電池で小型のファンを動かす実験

続いては、キネティック発電(人間の力による発電)を利用したデジタルカメラとフォトビューワー「odo」。キネティック発電は、腕時計などには比較的良く利用されている技術だ。腕時計の場合、腕に付けているだけでその動きによって発電されるというものだが、さすがにデジタルカメラの場合には、普段から腕に付けているというわけにはいかない。今回参考出展されているodoは、使う前に発電を行う必要がある。odoのカメラはレンズのない虫メガネのような形状をしている。この輪になった部分にはローラーが付いており、その部分を机の上などで転がすことで発電を行うというものだ。机の上を数回転がすだけで撮影が可能になる。ファインダーやモニターなどは搭載されておらず、虫メガネ上の輪の部分をファインダーがわりに撮影を行う。使用するメディアは、同社の販売するマイクロUSBメモリー「ポケットビットミニ」のオリジナルバージョン。

KDL-32JE1を1年間使用する分のグリーン電力証書をプレゼントするキャンペーンを実施

箱形をしたビューワーは、上の部分に液晶パネルが搭載されている。こちらもカメラ同様、下の部分にローラーが付いており、机の上などで転がすことで発電するというものだ。ただし、バックライトがついている関係から、カメラよりも余計に転がさなくてはならない。このodoも色素増感太陽電池と同様、体験コーナーが設けられている。

研究中の技術だけでなく、テレビの省エネ技術の進歩も展示。以前同社が販売していた「ベガ」シリーズのブラウン管テレビ、そして「ブラビア」シリーズの1号機、最新の「KDL-32JE1」とで、その実際の消費電力の比較を行っている。JE1はブラビアシリーズのなかでもずば抜けた低消費電力性能を持つモデルで、その消費電力は90Wh弱程度。同サイズのテレビの2/3にまで抑えられている。なお、同社では、このJE1をカスタマー登録したユーザーに、「グリーン電力証書」をプレゼントするキャンペーンを実施する。グリーン電力証書とは、グリーンエネルギー(バイオマスや風力などの再生可能なもの)のメリット(CO2削減など)を証書化したもので、日本自然エネルギーが発行している。証書に記された分の発電を、同社がグリーンエネルギーでの発電を行う業者に委託し、発電された電力は一般の電力会社に売電される。グリーン電力は一般の発電に比べてコストがかかる。つまり、グリーン電力証書を契約したユーザーが、その差額分を負担するという仕組みだ。JE1のキャンペーンでは、JE1を1年間使用する電力量分のグリーン電力が発電されることになる。

植物から色素を取り出し、自分で作った電池でオルゴールを鳴らすワークショップも開かれている

キネティック発電で動作するカメラとフォトビューワー「odo」

数回転がすと撮影が可能に

バックライトのあるビューワーは、かなり転がさないと使用できない

使用しているメディアはμUSBメモリーの「ポケットビットミニ」オリジナル版

テレビの電力消費量の進歩についてのデモ