米Hewlett Packard(HP)が米Electronic Data Systems(EDS)を間もなく買収する予定だという。米Wall Street Journal(WSJ)のオンライン版が同件に近い筋の情報として、5月12日付(現地時間)の記事で報じている。EDSは企業のシステムコンサルティングやアウトソーシングなどのデータサービス事業で業界大手の1つ。最大のライバルはIBMで、IBMがソフトウェア/サービス事業を大幅に強化する以前は、EDSが最大手として君臨していた。WSJによれば、米国時間の13日にも正式発表される可能性があるという。

米EDS株は18.86ドルで前週金曜日の取引を終えており、この数値から換算した同社の時価総額は約95億ドルとなる。だがWSJらの報道を受けて同社株は急騰、原稿執筆時点の12日15時30分(東海岸時間: EDT)の段階で23.95ドルを付けている。もしEDSの買収が成立すれば、これはHPにとって2001年9月に発表した米Compaqの250億ドルでの買収以来の大型案件となる。

ハードウェアや従来型のビジネスモデルからの脱却を目指すIBMは、2002年7月に米PricewaterhouseCoopers(PwC)のコンサルティング部門買収を発表した。PwCとの統合で強化されたコンサルティングサービスは、ビジネスからテクノロジーまで、企業システムのあらゆる行程をカバーする非常に競争力の高いものとなった。こうしたIBMのサービス事業は順調に成長し、現在では同社の全売上の約6割を稼ぎ出す主力部門となっている。IBM対抗を目指す企業群にとって、こうしたサービス事業の強化は欠かせないものとなりつつある。HPもその1つであり、買収ターゲットとしてIBM最大のライバルであるEDSを選択したことは、コンサルティング事業の戦略的な重要性を裏付けるものになる。